今回取り上げる本は、ミヒャル・エンデ作の「モモ」です。

 

 

 ミヒャル・エンデ原作 大島かおり翻訳

 岩波少年文庫

 410ページ

 2005年(原書は1973年)

 800円(税別・購入時の価格)

 

 

 読んだきっかけ

 

 

聴講生として大学で授業を受けています。仏教の勉強に通っており、2024年に受ける授業を選択中ですが、仏教以外の授業も受けてみようと考えて、検討しているのがこの「モモ」という物語を講義に使用している経済思想に関する授業です。

 

つまり、この本での資本主義社会の問題点を取り上げ、ドイツの思想家カール・マルクスがどのように批判したかを解明する授業です。

 

「共産党宣言」も「資本論」も読んだことはありません(難解で私には読めません)が、マルクスが誕生していなかったら歴史はどうなっかたのか?と思うことがよくあります。

 

・第二次世界大戦後の東西関係は存在したのか?

 

・マルクスのような別の人物が現れて社会主義を説いて結局現在のようになったのか?

 

・アメリカとソ連という二大大国による緊張関係が現在とは別の形で発生したのか?

 

・中国はどのような国になったのか?

 

また、昨今は地球存続の観点からマルクスを見直す動きもあり、マルクスについては興味があります。

 

(興味はありますが、思想に深く入っていくのは困難です)

 

 

 

 あらすじ

 

 

モモという少女が施設から抜け出し、都会のはずれの円形劇場の廃墟に住み着く。

 

モモには人の話を聞く才能があり、人々はモモに話を聞いてもらうと自分の意志がはっきりしてくるので多くの人が集まってきた。

 

特に道路清掃夫ベッポと観光案内のジジは親友。

 

ベッポは、考えるのに時間を要する。仕事はゆっくりと着実にやった。

 

ジジは、口達者で出まかせの物語を語る。

 

時間貯蓄銀行の「灰色の男たち」が現れ、時間を節約して銀行に預けるよう勧める。

 

たくさん集まっていた友達が円形劇場に来なくなった。

 

ただし、子供たちはたくさん来るようになった。しかも高価なおもちゃを持って。

 

子供たちが言うには、親たちは時間を節約するようになって忙しくなりくたびれて、かまってもらえなくなる。その代わりお金はたくさんもらえる。子供たちは以前のほうがよかったと話す。

 

床屋のフージーは、いらいらして、おこりっぽくなって、憂鬱そう。

 

左官屋のニコラは、モルタルに砂を入れすぎるような良心に反する仕事をして、金回りがよくなる。

 

居酒屋のニノは、昔からの客を追い出し、金払いのいい客を求めるようになる。

しかし、ニノはモモと話すうちに自分の考えの誤りに気づき、元の客に謝って来てもらうように頼んだ。

 

灰色の男は、モモが自分たちのしごとの邪魔をするので、邪魔しないよう説得するが失敗。

 

モモは親友のペッボとジジに灰色の男の訪問について相談し、子供たちでデモを行い、大人たち呼びかけて集会を開こうとした。しかし、大人たちは誰も来なかった。

 

ベッポは仕事の後で灰色の男たちの中で開かれた裁判を見た。裁判はモモに近づいた男が自分たちの秘密をばらしたことによって有罪とされ、消えてしまった。これを見たベッポはモモの危険を感じて恐ろしくなる。

 

廃墟にいたモモのところにがカシオペイアというカメ現れ、ホラという男のもとへ案内する。

 

ホラは、「自分はひとりひとりに定められて時間を配っている。しかし、自分の時間をどうするかは、自分で決めなくてはならない。時間を盗まれないように守ることだって、自分でやらなくてはならない」と言う。

 

モモは円形劇場に戻っていたが、モモの世界では1年が経過していた。

 

その1年間にジジは灰色の男たちに丸め込まれて、旅行ガイドとして大忙し。しかし、むかしのモモやベッポとのくらしをなつかしむ。

 

ベッポは、モモが廃墟からいなくなったので灰色の男たちのせいと思い、彼らに10万時間貯金をすることを条件にモモを返してもらうよう取引をする。ベッポは時間を節約するためにひたすら働く。

 

モモは、ニノのレストランに行くが、ファストフードになっていて、いらいらした客の行列に慌ただしく対応。

 

モモはジジに会いに行くと、ジジは高級住宅地に住み、忙しく働く。ジジは、「ジジはジジでなくなっちゃったんだ。人生で一番危険なことは、かなえられるはずのない夢がかなえられてしまうことなんだよ」と言い、モモはジジが病気であることを悟る。

 

灰色の男たちは、時間をつかさどるホラのところに案内するようにモモに依頼するが、モモはカシオペイアしかわからないというと、カシオペイアを探そうとする。

 

カシオペイアはモモを伴い、ホラのところへと行く。

 

ホラは時間の制御で、モモとともに灰色の男たちを消滅させた。

 

ももは、ベッポと再会し、ジジ、レストランのニノ、左官屋のニコラ、他の子供たちと円形劇場に集まって祝っていた。

 

 

 資本主義について

 

 

時間とは何か?を考えさせられる小説。時間によって効率が計られます。

 

資本主義経済の中では効率が優先されます。

 

自分もサラリーマン時代に、システムを構築することによって月に〇〇人の削減ができて、その結果経費が〇〇円下がり業績に貢献する、といったことをしていました。

 

人間味のない仕事です。

 

 

また、この物語は50年前に書かれていますが、現代の資本主義にもあてはまります。

 

・仕事のノルマが厳しく、精神的に病んでしまう。

 

・利益を得るため、コストを違法に削減する。

 

・親が仕事で必死のため、子供たちは学校が終わっても家族と一緒にいられない。

 

 など

 

しかし、社会主義の下では、生産性が低いばかりでなく、企業間競争がないので発展していかないです。

 

ソ連が崩壊した原因も経済に行き詰まりがあります。食べていけないのです。

 

マルクスのこと偉そうに語る立場にありませんが、マルクスは資本主義の批判ばかりして、社会主義の欠陥を指摘できなかったとことが問題です。

 

一党独裁、それによる非民主化、憲法を改正してまで政権にとどまる者・・。

 

ただし、日本のような資本主義が進んだ国では、過剰な経済競争が起きていて、資源を途上国の分も含めて大量に消費し、空気や水を汚染させ、地球の健康を損なっているのです。

 

過度な競争をやめて、競争の緩やかな資本主義にすべきと思います。

 

現政権の「新しい資本主義」に期待したいけど、今の状況では・・・。

 

 

効率だけが重視されるくだらない日本の産業社会と思いますが、そのおかげで今日の自分の生活があるのも事実です。

 

私は産業社会から脱出しました。効率はなるべく気にしないで行こうと思います。

 

 

 最後に

 

 

政治的なことは、グログで書かないよう決めていましたが、つい書いてしまいました。😥

 

また物語の要約が下手で、要点がまとまらないだけでなく、長くなってしまいました。特に最後は、はしょってしまいました。😥

 

「小学5・6年以上」と裏表紙に書かれていますが、結構難しい本で、私の読解力では子供の時に読んだら訳がわからなかったと思います。😥

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。