ケンドラー原型のアンティークマイセンの中でも
私の一番のお気に入り
「エウローペの誘拐」
ギリシャ神話を阿刀田高先生から学ぶよりも
ずっと前に
一目惚れした逸品です。
全知全能の神 ゼウスは美女に恋をすると
白鳥やカッコウ、いろいろなものに姿を変えて
近づくのだけれど
フェニキアの姫、エウローペには
牝牛になった。
侍女たちと花を摘んでいたエウローペに
近づき、
エウローペが安心して背に乗ったところで
エウローペを連れ去る。
ゼウスがエウローペと共にヨーロッパ中を駆け回り、
その駆け回ったところが
ヨーロッパと呼ばれるようになったという伝説。
牛の表情が
優しさの奥に
何か見えるような
なんとも引き寄せられる
ケンドラーの凄さを感じます。
造形美と色彩と
そして、
ヨーロッパ伝説が
何とも魅力的。
のちに
マイセンの故郷、ドイツ周辺のアンティークショップで
この「エウローペの誘拐」が
並んでいるのを目にした時の
幸せ感もなんとも言えません。
型は同じでも、
色が微妙に違っていたり、
花籠の配置が違っていたりと
それぞれの個性を見つけ出すのも
楽しいです。