小銭をかぞえる 著:西村賢太 | my life without me

my life without me

デブでボッチなjedによる独り言。

 焼却炉行き赤ん坊と小銭をかぞえるの二編が収録されてる。焼却炉行き赤ん坊とは物騒なタイトルだが、なかなか妊娠できない身体の自分の彼女が犬を飼いたいなどと言い出して、それは無理だからと買ったぬいぐるみの事だ。小銭をかぞえるは印刷所に藤澤清造の全集を作ろうと考えている主人公が30万円の金策に走る話。どこへ行っても金策は叶わず、彼女の実家の両親に頼む事になった。それで労いにいつかデパートで食べたうまい焼きそばを食べようとデートするのだが、そこでも喧嘩になって最後は別々に帰り、主人公の方はタクシーで帰り、先に寿司の特上の握りで食事は済ませていた。怒った彼女は自分はピザをとるがお金が無くて、貯金箱を切り崩し、全額硬貨で支払いをするというもの。二編とも彼女の号泣で終わり、その種は主人公の傍若無人な我儘だった。

 

 知識や語彙には感服するほどのインテリジェンスを発揮する西村賢太さんであったが、読み終わり、余りにも彼女が可哀想だと不憫に思った。全部漢字をきちんと読めた訳じゃない。難しい心情の吐露に相応しい難しい漢字を充てて書き切っているが、彼女が可哀想と言う感想以外は抱けずに終わった。

 

 他にも西村賢太さんの本を借りて来ているが、大丈夫だろうか?読後、爽快感など一切味わえず、不憫に思った次第だ。これでも彼女が居るし、別れないんだから凄いよな。俺には考えられない。