夜更けの川に落ち葉は流れて 著:西村賢太 | my life without me

my life without me

デブでボッチなjedによる独り言。

 感情を司る語彙の豊富さに驚かされた。寿司乞食は築地に憧れたが一日しか仕事にならなかった話で、夜更けの川に落ち葉は流れては警備会社で知り合った彼女と喧嘩別れになって手を出してしまい歯が欠けたので親が凄みに来たと言うもの。年の瀬に日雇い労働で懐を温めるため引っ越し業者で働き、夕食を食べたが割り勘だったので頭に来て、ファミレスを出たが、自分はこのままどうなってしまうのだろうと、東京のドブ川の辺りを蕭然たる心地(もの寂しい心地)で芝公園を歩いた。と終わる。青痰麺はうまいラーメン屋で粗相をして行きにくくなってたのを彼女が味噌ラーメンを食べたいと言うので連れて行くが粗相を覚えられてて逃げ出す話。作家になったあとでまた粗相をしに行くと言う復讐のような話だった。

 

 筋書きよりも難読で語彙の豊かさを垣間見る心情が面白くて、奇天烈な顛末に、こんな事もあるのかと文章を読むのに一字一字スリルがあって面白い。夢中になって二日で読んでしまった。もう西村賢太さんはこの世に居ない。けれどこうして、こんな人生もあるのさと私を勇気づけてくれる。他の作品も楽しませてくれるだろうか。苦役列車以外に読むのは寒灯以来じゃ無いだろうか。図書館でまとめて借りて来た。次も期待したい。

 

 以上