成仏でけへんのは、
未練か、呪いか



「をんごく/北沢 陶」

大正時代末期、大阪船場。
画家の壮一郎は、
妻・倭子の死を受け入れられずにいた。

未練から巫女に
降霊を頼んだがうまくいかず、
「普通の霊とは違う」と
警告を受ける。

懸念は現実となり、
壮一郎のもとに倭子が現れるが、
その声や気配は歪なものであった。

倭子の霊について探る壮一郎は、
顔のない「エリマキ」と出会う。
エリマキは死を自覚していない霊を喰って
腹を満たしていると言い、
倭子の霊を狙うが、
大勢の“何か”に阻まれてしまう。

ふたりは怪現象の謎を追ううち、
忌まわしい事実に直面する。

北沢陶さんのデビュー作にして、
横溝正史ミステリ&ホラー大賞、
読者賞&カクヨム賞の
三冠受賞作✨✨
発売前から気になっていた
1冊でした。

舞台は大正時代末期の大阪船場。
言葉遣いももちろん当時のもの。
それでも読み易い作品でした👍

ホラー要素もミステリー要素も
それなりで楽しめたんですが、
ちょっと物足りなさも。
ホラー要素的にはそこまで怖くなく、
それは相棒が良い奴過ぎた事も
少なからず影響が😅
結局、本当に怖いのは人間ってね。

ミステリー要素的にも、
謎解き要素は多くはなく。
いわゆる犯人的な人はすぐに
目星が付きますし。

それでもトータルすると、
悪くない、むしろ好きな作品、
作家さんでした🙆
これでデビュー作ですからね。
次回作が早くも楽しみ🙌

季節を愛おしみ、
旬を味わう12ヵ月。




「糸暦/小川 糸」

絶品の山菜料理、りんごケーキ、
栗ごはん、手作り石けんに湯治。
巡る季節を自分流に楽しむ
糸さんの暮らし。


小川糸さんは
はじめましての作家さん。
本屋で偶然見かけ、
手に取り、
冒頭を読んだだけで、
心を掴まれたというか、
冒頭のわずか数行の文章が、
スッと入ってきたというか。
そんな感覚を感じ、購入を即決✨


結果、買って良かった。
食を通して一年を描くエッセイなので、
当然ながら殺人事件が起こったり、
名探偵が出てきたり、
凶悪な幽霊が出てきたりもしません。
どんでん返しがあるわけでも
ありません。

でも、面白い。
面白いという表現が正しいかは
ちょっと微妙な感じ。
読んでて心地よいみたいな。
知らない土地、
知らない文化、
知らない料理のことが
書かれていてもどことなく懐かしい。
そんな気分になる1冊。

読み終わったときの最初の感想は、
かなり安直。
「山形県に行ってみたい」
でしたね。
あとは、山椒鍋が気になって
仕方がない。
ドラマの最後が残念だったので、
今度こそはと。
有終の美というか、
納得のいく終わりを期待して。




ネタバレも含む恐れもあるので、
この先は。




まず、ドラマの最終回以降の話。
取り分け、守谷壬三の真の正体的なものを
期待していたのですが、
そもそも登場せず。
ドラマで思わせぶりな発言までしておいて、
この仕打ちはちょっと😅
そもそもドラマとは
全く繋がりもなく
独立したお話になってました。


そして、映画そのものの感想。
途中までは、まぁまぁ。
ところが、事件の真相が明るみになる、
クライマックスのシーン以降が
個人的にはかなり微妙。
犯人の動機はまだしも、
その動機を確証に変えるまでの流れが
全くもって微妙。
「目を見ただけで
20年近く前に誘拐された娘に気づく」
って無理がありすぎじゃない?
動機を自白する展開も、
はじめは多少の共感もあったけど、
途中からは全く。
これでおしまいかと思われたところで、
どんでん返し的にさらなる
展開が始まったと
テンション上がったんですけど、
一瞬でしたね。
その後の展開も胸踊るものでは全く。
ただただ、歪な家族愛が
描かれてるだけで、
何もどんでん返されてなかった。



 取り敢えず、これにて事件解決
めでたしめでたしと
思わせておいての急展開。
悪い意味での急展開。
個人的には嫌いなタイプの急展開。
無くても良かった急展開。


で、結果としては、


謎解き的な要素もあまり無く、
驚きの展開も悪いものしかなく、
誰かに共感して感動することもなく。


本当にドラマの序盤がピークで
展開が進むに連れて
盛り下がってしまった作品に
なってしまったことがただただ残念。


現時点ではね。


なので、
ドラマの続編を期待したい。
むしろ、無いと困る。
くらいに不完全燃焼。


個人的には、ね。