二週連続のNHKドラマを見た。

サスペンス仕立てだが、結末は無理があり、あり得ない展開だった。

ストーリーについての感想を語るつもりはない。

 

草薙剛主演のコーダを題材にしている。

CODAとはChildren of Deaf Adultsの略で耳が聞こえない、又は聞こえにくい親のもとで育った聞こえる子供のこと。

コーダの作品は「Coda コーダ あいのうた」確かアカデミー賞受賞作品と、吉岡里帆、笑福亭鶴瓶の「しずかちゃんとパパ」に続いて3作品目になる。

「デフヴォイス」は実際の聾者俳優ががオーディションを受けて約20人出演している。取材も時間をかけている。3年以上の歳月をかけ完成されている。(制作統括伊藤学氏)

リアリティのある対話、やりとりやエンタメを越えた緊迫感のある感情表現、肉身のすれ違い、育った環境ゆえの辛さが見る側に迫るように伝わってきた。

 

映画「Coda コーダ あいのうた」も映画館ではなくテレビで見た。見る気もなくなにげなく流れてきた画面、途中から登場人物のあけすけな表現、音楽指導の教師の熱心さ、何より主人公の目標に向かって生きる姿に強く惹かれた。

 

「しずかちゃんとパパ」もひたむきさが前面に出て、鶴瓶が演じた父親と丁寧にコミュニケーションを取っていた。聞こえないことから来る誤解を手話や筆談で埋めて行く、そのコミュニケーションにかける姿は新鮮だった。

 

手話によるコミュニケーションは今まで知らないで生きてきた。国会中継や記者会見、手話ニュース等で見かける機会は増えている。遠近を表す手の動きや、手話ニュースの豊かな表情などは見ていても、難聴者の社会を知らないで生きてきた。

手話通訳士の仕事だけでなく法廷手話通訳の仕事がある事、難聴者の役者さんがいらっしゃることも考えたことがなかった。

 

数年前、これもテレビ、NHKEテレで目の見えない聾者の奥さんが夫から指で朝ドラのストーリーを指手話で教えてもらうのを楽しみにしているというご夫婦の生活ドキュメンタリーを見た事がある。山の暮らしの中、ご夫婦の日常をカメラが追い静かに時間が流れて行く。

二人とも60を過ぎ、出会ったのも老境近かったと記憶している。二人とも穏やかな表情をされていた。

 

「デフヴォイス 法廷の手話通訳士」は聾者、難聴者の役はオーディションを受けた当事者が演じている。

メインストーリーではなく伏線として描かれたストーリー。住所不法侵入で逮捕された菅原の法廷通訳士荒井(草薙剛)が菅原の部屋で手話で繰り返し伝えようとして、繰り返すことで馬鹿と思われてきた過去の体験が甦った菅原に殴られ、怪我をする。同行した弁護士片貝(中途失聴者)が帰路、いっぱいやりませんかと荒井を誘うシーンにほっとし暖かさを感じた。

緊迫したやり取りの後の片貝弁護士との会話。中途失聴とわかった後も両親の意志で普通学校で教育を受けた片貝は親に心配をかけたくない思いで必死に勉強して弁護士になった。その時母親から「これで耳が聞こえたら」と言われた話をする。どの人も心が通じない体験をし,それでもここまで生きてきた。片貝は飲んだ後、荒井に今日はお話できてよかったですと話す。この片貝弁護士役の役者さんがとても良かった。

メインストーリーは殺人事件のサスペンス。