女の子は少しぬけたようなのがいい、と聞いたことがある。

 どこか本で読んだのかもしれない。

 浮気されても気がつかないようなぼんやりした子がいい。これも聞いたことがある。

 しかし気づいても気づかないふりができるのはとても賢い女の振る舞いだと思う。

 

 晩年の吉行あぐりが、夫がしばらく帰って来ない事があった。

 街を歩いていたら向こうから夫エイスケが女性と連れ立っているのが見えた。 

 呆れて笑って言うのを聞いた事がある。

 

 

 “The Great Gatsby"の一節。"that's the best thing a girl can be in this world,

  a beautiful little fool" (p25The Great Gatsby"by F.Scott.Fitzgerald 出版者Scribner)

 「馬鹿な女の子に育ってくれればいいんだけど。それがなにより。」(村上春樹訳)

  産んだ子供が女の子だと知って、顔を背けて泣いた後、女性が言った言葉だ。

  

  川端康成の「雪国」にも似ている表現がある。どんな芸者を呼んだらいいか好みを尋ねられ答える場面。「うるさくしゃべらんのがいい。ぼんやりしていて…」英文では“someone who doesn't talk too much . not too quick"

 quickは英和辞典で理解の早い、さとい、利口な,そういった訳語がならべられている。

 

 ぼんやりしているのは母親に欲しい性質のように思う。そして女の人が幸せに生きていく上でも。

 

 両目の間が離れた目尻の少し下がったぼんやりした顔の女性は優しい。

 子供の頃から体験して身につけた勘のようなものでそう感じている。

 人相学的見地は調べていない。

 私はそういう顔の女性を見ると一目ですごく安心する。

 いつでも当たり前に親切な行動がすぐできる。ごく自然に。

   この手の顔で親切な女性をたくさん見てきた。

 生まれ持っての顔つきもあるかもしれないが、育った環境の影響が大きいように思う。

 ぼんやりして賢さで生きていない。

 

 かなり女にモテる男が、女の人はぼんやりした顔がいいのよと言っていた。

 これも体験から得たのかと思っている。