年が明けて、本格的な寒さと共に澄み渡る東京の大気。
仕事場所の青山一丁目の14階建てのビルの一室からでも
くっきりとした富士山のシルエットを見つけるのが
私の密かな喜びになっている。
そうした富士を意識する機会が増えてくると
やはり小さな富士では飽き足らず、
どうしても間近で眺めたくなるものだ。
土曜日の昼下がり、急に思い立ち、
中央高速を車で飛ばし、山中湖方面に向かった。
連休の中日だったが、時間が遅めだったせいもあって、
思ったほどの混雑もなく、
まだ午後の日差しが明るいうちに目的地に到着。
そして、大きな湖を抱きかかえるようななだらかな稜線の
美しい富士の姿を
新年早々目に焼き付けることができたのである。
日没後、すっかり冷えてしまった体を
山梨名物のほうとうで温め、
再び車に乗り込んで帰路につく。
すでにとっぷりと日が暮れた田舎道。
ネオンやイルミネーションなどの
街の灯りに満ちた都会を走るのは刺激的だが、
ひとたびそういったものと遠く離れて、
闇が多く広がる景色の中を進んでいくのは、
東京では感じられない安らぎがある。
カーステレオから流れる音楽も
より鮮明に聴こえるから不思議だ。
ふいに、
あたりの宵闇よりも深い、漆黒にそびえ立つものに
気がついてはっとした。
夜の富士山がそこにあった。
昼の優美な表情を消し去り
かたく沈黙したその巨大な山は、
怖い感じがするほど、圧倒的な存在感で町を見下ろしていた。
(1月7日)





























