世にも不思議な物語。
「天界からのメッセージ」
ある日のことです。
その日は、 10月もあと数日で終わろうとしているのに、「夏日」のような 暖かい朝のことでした。
私は、 日課のごとく毎日休むことなく、 朝の7時前に、「広島電鉄」の 八丁堀女学院前から、 治療院までの道筋を10分ほど、 散歩がてらにゆっくり歩いています。
そして、 その日もいつものように 朝の出かけの 支度を終えると、私は一人住まいのマンションを 後にしました。
だが、 その日に限って いつもの時間より 30分早く出かけたのです、意味もなく。
そして「 白島線」の 電車通り沿いに 歩き始めました。
その時は、 早朝の 6時過ぎと いうこともあり、 歩道を歩く 人の姿は、 一人も見当たりませんでした。
そして、 マンションを出てから100メートルほど 歩いたでしょうか、 歩道の中央に「 マフラー」が 落ちているのが目に付いたのです。
少し遠くからでも 歩道に落ちている その、「マフラー」に 気づくはずなのに、 その時は、 なぜか目前までそのマフラーには 気づかなかったのです。
不思議に思いなからも「あれ!」 誰が落としたのだろうと、 前後を振り向き、 見渡しましたが、 やはり人影は 見当たりません。
このマフラーは いつからここに 落ちていたのだろう、そう思い、 私の足元に 「ふわり」とした感じで 落ちている ベージユ色のそのマフラーを よく見ると、 私が持っている のと 全く同じブランドで、 デザインも同じなのです。
実は、 そのマフラーは 海外旅行で お土産として 、色違いを 3つ 買って帰ったので よく覚えていました。
私は、その足元に落ちているマフラーを拾い上げると、 見慣れた柄でしたから、もしかして 私の娘が 落としたのでは ないだろうか、 と 半信半疑ながら、 それを治療院に持ってきたのです。
その日も、柔整師として私を 手伝ってくれている 娘が8時すぎに出勤して来ましたので、 来る途中の 道路上に落ちていた話しをし、私が手に持っているそのマフラーを見せたのです。
そして、落としたのではと?、 聞いてみました。
すると娘は、そんなに朝早くから電車通りを歩くはずもなく、まして、今日のような暖かい日に マフラーをするわけがない、と言うのです。
そして、そのマフラーは、誰か他人の落とし物だから、落ちていた元の場所に返して来なさいと、言うのです。
だが、よく考えてみると娘の言うとおり、この暖かい日にマフラーをしている人は、 ほとんど見当たりません。
だからこそ、 今日のような日に、 そのマフラーが 落ちていることが、 私にはなおさら、 奇異に感じられたのです 。
その時です、 私の心の中に一つの 「疑念」が 浮かび上がりました。
実は、 それと同じマフラーを ある人に 「プレゼント」してあげました。
その人は、 数年前から定期的に 治療に来られる 女性の方で、「 バレンタインデー」には、 いつも チョコレートを持ってきてくれました。
そして去年、 平成28年3月の 「ホワイトデー」に、 そのお返しとして、 マフラーをあげたのです。
すると、そのマフラーを 気に入ってくれたのでしょう、嬉しそうに、 治療院にも 首に巻いて 来てくれました。
その後、 春が過ぎ、 夏が来ても、 定期的に来てくれていた その人が 急に来なくなりました。
音信が 途絶えたのです。
そんなこともあり、 その人の事が 心の片隅で 気になっていました。 だから、 もしかして このマフラーは、 その女性にプレゼントしたものではないだろうか
そのような思いが、一瞬私の頭をよぎりました。
もし、 そうであれば、 その人は 私たちの 手の届かない、 遠くへ旅立たれ、 天から 舞い落ちてきたかのような「 不可解」な マフラーの出現は、 その人の 「天界からの メッセージ」ではと、そのよう な思いに とらわれたのでした。
また、 マフラーを拾い上げた時のこと、 今の、 今まで 誰かが 首に巻いていたのではと 思えるような マフラーの暖かさが、 触れた 私のその手に、 感じられたのです。
そして、 あたかも天から 舞い落ちて きたかのように、 そのマフラーが ふわりと 歩道の上にあったのです。
さて 、それから2週間余りすぎた 11月初めの頃でした。
その人のお父上から、娘、死去の お知らせと言う ハガキが届きました。
5月初めに亡くなったという、 悲しい知らせの ハガキでした。
私は、 マフラーのことといい、 そのハガキが来たことに、 驚きとともに、 不思議な感覚に とらわれたのです。
そして、ハガキが届いた次の日、 お父上に電話を入れました。
電話には、その人 の兄上が出られ、生前は、 妹が大変お世話になりました、と、 感謝の言葉をいただきました。
妹さんは、 私の治療院に通っていたことを、家族の方に お話しされていたのでしょう。
だが、その人は、悲しい知らせのハガキが届くより少しでも早く、「 あの世」に旅立ったことを 私に知らすべく、 プレゼントとしてもらった この「マフラー」は、 私にはもう 必要がなくなりました。だから、 そちらにお返ししますと、 天界から「メッセージ」として送り返してくれたとしか思えないのです。
今は亡きその人のご冥福を、心から お祈りするばかりです。
後書き
海外からのお土産に買って来たマフラーは、それぞれ、グレー、白黒、べージュの異なった色のマフラーだったのですが、私の手元にあったのは、グレーと白黒の2つが残っておりプレゼントしたべージュのマフラーは、ありませんでした。
この「天界からのメッセージ」、その人からのマフラーは、大切にしたいと思います。
秋のお彼岸が目の前です。心静かに手を合わせたいと思います。
平成29年9月22日
あら嬉し 今年もお彼岸 無事越える
地獄極楽 思いのままに
完。