葉を落とした大銀杏の
休暇の取り方
どこかへ慌てて旅立ったりしない
同じ場所での静かな休息
自分から逃げ出したりしないで
自分に同意している育ちの良さ
裸でいても
悪びれず
風のある日は
風を着膨れています
吉野弘 「短日」
美しい時期が長い分、冬の銀杏はどこか寂しげに見えます。
でもこの詩を読んだときから、その姿を見る目が少し変わりました。
今年の冬も、銀杏はゆっくりと充電しています。
裸になってもジタバタせずに、じっくり静かに休んでいます。
その下を通る私の足元は、いつもパタパタ。目はキョロキョロ。
恥ずかしくなって下を向き、より早足になってしまうのです。