「サラの鍵」 | Luch Kolorita

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「サラの鍵」 2010年 フランス
監督 ジル・パケ=ブレネール
出演 クリスティン・スコット・トーマス, メリュジーヌ・マヤンス他



1942年7月、ドイツ占領下のパリでフランス警察によるユダヤ人一斉検挙が行われました。この「ヴェルディブ事件」が作品の主題となっています。

警察が自宅アパートへ踏み込んできた時、少女サラはとっさに弟を部屋の押入れへ隠し、鍵をかけます。すぐに戻って開けてやるつもりで。収容所から脱出したサラは、苦難を乗り越え自宅へと戻り押し入れを開けますが、そこには変わり果てた弟の姿がありました。その後、彼女は自責の念と、身に余る悲しみを抱えて生きていくことになります。

時は変わって、2009年。フランスに夫と娘と暮らすアメリカ人ジャーナリストのジュリアが、少女サラの存在を知り、その真実を解き明かそうと調査を始めます。

映画は、このジュリアと少女サラを交互に映し出しながら展開していきます。



真実を知ろうとするジュリアの行動に、周囲は戸惑います。家族もサラの親族たちも。

彼らにとっては、遠い過去のことなのです。過去にしてしまいたいこと。知らされていなかった過去のこと。生きるために封印した過去のこと。

「真実を知るには代償がいるのよ」というジュリアに、真実を知ることで誰が幸せになれるのか? と夫は問いかけます。



「知る」ということと「幸せ」がいつでもうまく繋がっているわけではありません。それでもなお、「知る」ことを求める自分に気付きます。しかし、知った後は、もう知る前の自分には戻れません。



歴史的事実だけでなく、現代に生きる私たちの歴史認識に対する態度とその葛藤を描いた、心にこたえる作品です。



「サラの鍵」 公式サイト → クローバー