恋戦配信終了間近!につき、ちょっ早で短編を書いてみました!

お次は私の(笑)雅仁様です。

お付き合いしたての頃よ。


いつも通り寛大な心の方のみお読みください。



***

俺はいつものように俺に仕える臣下たちと時を過ごしていた。
政事に祭祀。
時間があればあるほど報告の量は多く、それを片づけるたびに別の臣下が報告を持ってくる。

それが苦になったことはない。
己に課せられたことであり、それが難しいと思うことでもない。
求められることを行うだけの技量があり、苦になることがないのであれば問題などないのだ。


けれども

瑠璃「雅仁様」

1人で部屋で報告書に目を通していた折り、御簾の外から声がした。

後白河「瑠璃か。入れ」
瑠璃「はい」

愛しい娘。
結ばれて間もないこの娘との時が今は一番愛おしい。
しかし今は俺が訪室することはほとんど出来ず、こうして瑠璃が訪れることの方が多かった。

後白河「どうした」
瑠璃「明日、ノリちゃんからお花見に行こうと言われたのですが」
後白河「花見?今の時期にか?」
瑠璃「はい。以前雅仁様と見た桜の木がまだ咲いているということだったので清盛さんや義朝さんとも連絡がついたので皆で行こうと思いまして。帰りには神社でお参りを」

瑠璃「その・・・もしよかったら雅仁様も一緒に」
後白河「明日は時間を取ることができない。すまないが、八雲たちと行ってくれるか」
瑠璃「いえ、お忙しいのは分かっていますから。私こそ突然すみませんでした」

瑠璃はすまなそうに言って部屋を出て行こうとする。

後白河「瑠璃」
瑠璃「はい」

俺は瑠璃に近づき、その身体を抱きしめた。

瑠璃「雅仁様?」
後白河「いつもお前にばかり我慢をさせているな」
瑠璃「そ、そんなことは」
後白河「今宵はお前の部屋に行こう。待っていてくれ」
瑠璃「あ・・・。は、はい・・・」

頬を赤らめて瑠璃が何度も首を振る。
その姿が可愛らしくて愛しくて、俺は瑠璃と唇を合わせた。

と、

臣下「後白河天皇」

御簾の外から声がした。
瑠璃との時間はそこで終わり、俺と瑠璃はまた別の時間を過ごした。

夜、二人の時間を過ごすために俺は公務により一層取り組んだ。


・・・けれども部屋には行く事ができなかった。

明日までの書簡が多く、それについての采配を命じる文を書く為に多くの時間を費やしたからだった。



***

翌朝
庭を歩きながら臣下たちと公務について話していると、池をはさんで瑠璃の姿が見える。

頭の中は政務のこと。
口に出す言葉もそのままで。
けれども目線は瑠璃の方へやると、瑠璃は笑顔をつくって頭を下げた。

ちり、と

胸の奥が痛んだ気がした。


思えば瑠璃は多くを望まない女だった。
日々政事や祭祀に取り組む俺に、時折声をかけるくらいであった。

瑠璃「雅仁様、今日は星が降るそうです」
瑠璃「雅仁様、お祭りがあるそうです」
瑠璃「雅仁様、鶯の声が聞こえてきますよ」

後白河「すまない、瑠璃。今は」

瑠璃「・・・いいえ。お忙しいのに私こそすみませんでした」

寂しい気持ちが顔に出ないように繕っているが、それを見抜けない俺ではない。
瑠璃の寂しさを紛らわせようと着物や帯、鏡や菓子を贈っても

瑠璃「雅仁様、ありがとうございます。嬉しいです。・・・でも、私は大丈夫ですから」

そんな風に言っていた。
むしろ、

瑠璃「私に句を詠んで下さったのですか?・・・ありがとうございます。宝物にします」

物よりも俺が詠んだ句などを喜んで受け取っていた。

愛しい瑠璃。
寂しい思いをさせて申し訳ないが、すべきことを放棄してお前と過ごすわけにもいかないのだ。

・・・そして、その日の夜も政務が忙しく、全てを終えたときには夜も更けていた。


***

日中は温かく、朝晩は冷える中、

後白河「(せめて、瑠璃の寝顔だけでも)」

そう思い、俺は廊下を歩いていた。
瑠璃との時間を取ることができない申し訳なさもある。
瑠璃の部屋の前まで行くと、御簾から灯りが漏れているのが見えた。

後白河「・・・瑠璃?」
瑠璃「ま、雅仁様?」

御簾を上げると灯りに向かって何かをしている瑠璃の姿があった。

後白河「こんな時間まで・・・何をしていたのだ」
瑠璃「それはその、縫物を・・・。雅仁さまこそこんな夜更けに・・・早く寝ないとお身体にさわります」

瑠璃が持っていた物をさっと背後に置き、近づいてくる。

後白河「お前に会いたくてな。せめて寝顔だけでも見て行こうかと思っていたのだが」
瑠璃「・・・・・・。」
後白河「起きているとは、な」

寝顔だけでも見て行こう、
その言葉に瑠璃は赤面していた。
まったく・・・幾度身体を重ねても、こういうことにお前は慣れない。

ふっ、と笑いながら腰を降ろす。

後白河「こうしてお前の部屋でゆっくりするのも久しぶりだな」
瑠璃「そうですね。雅仁様はお忙しいですし・・・そんな中でも私に心を砕いてくださってありがとうございます」

頬を染めたまま柔らかく微笑む瑠璃。
今朝の、庭でのことが思い出される。
臣下と話している際に自分は視線だけ瑠璃に向けた。
言葉を交わすこともできないまま、瑠璃は微笑みながら頭を下げていた。

その時に感じた、ちり、という胸の痛みを―――。

後白河「瑠璃・・・」
瑠璃「なんでしょうか」

後白河「お前にはいつもすまないと思っている」
瑠璃「え?」

俺の言葉に瑠璃は驚いた様子だった。

後白河「お前は俺を慕ってくれているが、時間も取れず寂しい思いをさせているだろう」
瑠璃「それは」

困ったように眉を寄せ、瑠璃が俯きながら言葉を紡ぐ。

瑠璃「でも、雅仁様がお忙しいのは初めてお会いした時から知っていますし。仕方のないことです」

瑠璃「・・・すみません。お気を遣っていただいてしまって」
後白河「謝ることではない」

俺が瑠璃に申し訳ないと思っているのに、瑠璃が心を痛めてしまうとは。
しかしそれとはまた別に、瑠璃に対して言いたいこともある。

後白河「・・・ただ、もう少し我がままの一つも言っても良いのだと言いたくてな」
瑠璃「我がまま、ですか?」

後白河「そうだ。お前が俺に対して思うことだ」
瑠璃「そんな、雅仁様に我がままだなんて・・・」
後白河「あるのだろう?」
瑠璃「それは・・・」

もともと嘘をつくことが苦手なのだろう。
迷い、考えている様子が分かる。
そのように悩んでいる姿も可愛らしいのだが、

後白河「愛しい女の口から出る言葉は、たとえどんなものでも甘露なものだ」
瑠璃「・・・・・・っ」

言うと瑠璃は顔を真っ赤にした。

後白河「(そうだ・・・。このような時間を求めていたのだ・・・)」

瑠璃と共に過ごす、甘い時間。

言葉のやりとりと、瑠璃の仕草。
それらはとても懐かしいものに思えた。

後白河「(俺は、もっとこのような時間を瑠璃と過ごしたいものだが)」


瑠璃「では、では・・・。」

頬を染め、眉を寄せ、口を引き結びながら言う。

瑠璃「本当に良いのですか?」
後白河「言ってみろ」

俺が言うと、瑠璃は声を振り絞るように言った。

瑠璃「その・・・昼間はお忙しいと思うので・・・」
後白河「・・・・・・。」
瑠璃「夜、たまにでいいんです。・・・今みたいに一緒に過ごせたらいいなと思います。どんなに遅くても待っていますので」
後白河「・・・・・・。」
瑠璃「・・・月を見て綺麗ですねと言い合ったり、星の瞬きを見たり、虫の音を聞いたり・・・そういう時間を一緒に過ごしたいのです」

後白河「・・・まったくお前は・・・」

それは、俺が今しがた感じていたことと同じこと。
瑠璃と共に過ごす、甘い時間。

瑠璃「す、すみません!!」

瑠璃は頭が床につくほど深々と頭を下げた。
ごっ
むしろ床に額をぶつけたようだった。

後白河「大丈夫か」
瑠璃「・・・かさねがさねすみません・・・」

額はほんのりと赤みを宿している。

後白河「・・・お前は俺の前ではよく謝るが、それは不要だ」
瑠璃「けど」
後白河「それに、俺もお前と同じように、夜のひと時を共に過ごしたいと考えていた」
瑠璃「・・・そうなのですか?」
後白河「ああ。瑠璃が望んだことは俺が望んだことでもある」

そう言いながら瑠璃の額に手をやると、瑠璃が微笑んだ。

瑠璃「ありがとうございます。・・・とても嬉しいです」

瑠璃の言葉と笑顔に心の中が暖かくなる。
共に過ごすことの出来なかった物足りなさが無くなったように思えた。

そしてふと思い出す。

後白河「そういえば瑠璃は先ほど何を作っていたのだ?縫物と言っていたが」
瑠璃「これは、その。ちょうど今出来たのですけれど」

瑠璃が恥ずかしそうに背後から何かを取り出して俺に手渡した。

それは、不思議な生物の形をしていた。

後白河「なんだこれは?・・・たぬき?」

眼が大きく、頭に大きくて赤い実を二つつけていた。

瑠璃「これは、ぽんちくんという・・・たぬきの御守りです」
後白河「御守り?」

瑠璃「はい。雅仁様はいつもお忙しいから、身体を壊さないようにと思って・・・。中には先日言った神社の木札が入っています」
後白河「・・・・・・。」
瑠璃「す、すみません。勝手なことを。しかもこんな子どもっぽい形で・・・」

後白河「いや、いい」

俺は視線を御守りから瑠璃へ移す。

後白河「俺が瑠璃との時間を過ごせない間にも、お前はこうやって俺のことを案じてくれていたのだな」
瑠璃「それは・・・それは、そうですよ」

瑠璃「会えないのは寂しいですし、一緒にいられないのも・・・辛いです」
瑠璃「けれど私は雅仁様を好きになったのですから、雅仁様の邪魔はしたくないです」
後白河「・・・・・・。」
瑠璃「だから、せめて私の代わりに御守りを持っていてほしいと思って・・・」
後白河「瑠璃・・・」

愛しさがこみ上げ、俺は瑠璃を抱きしめた。

後白河「お前は俺が思った以上に強い女だったな」
後白河「そして、とても愛おしい」

瑠璃「雅仁様・・・」
瑠璃「私も・・・雅仁様のことがとても愛しいですよ」

言って瑠璃もまた俺の背中に手を回した。
胸の中が暖かくなる。

この、腕の中の娘がいつの間にか俺の中で大きな存在になっているのを知った瞬間でもあった。

後白河「俺はこの先もお前に寂しい思いをさせると思うが」
瑠璃「・・・大丈夫です。私は・・・」
後白河「・・・うん?」
瑠璃「雅仁様の、恋人ですから」

―――恋人
はにかむようにして言う瑠璃。
俺は唇を寄せ、触れるだけの口づけをした。

後白河「瑠璃、愛している・・・これからも、ずっと・・・」



***


雅仁様は色々書きたかったんですけど、そしたら長く長く長くむしろ前中後になるので短くね!!(笑)


ヒロインはお付き合いしたての頃はすぐに謝っちゃうくらいが私の中で萌えです。


清盛さんだと → からかわれて怒るけど最後は甘い
義朝さんだと → しっとり大人の雰囲気
家盛さんだと → 清盛さんにからかわれているの気づいてねえ。気づくのは家盛さんばかり。


そんなん好みです(笑)

お次は颯太でタイムアウトかなー。