「やってみせ言って聞かせてさせてみてほめてやらねば人は動かじ」
「話し合い耳を傾け承認し任せてやらねば人は育たず」
「やっている姿を感謝で見守って信頼せねば人は実らず」
美容室で、夜遅くにしゃがみこむ二人。
何をしているか。
実はしゃがみこんでまで教えているのは、カットの仕方。
美容業界は、ここ数年で驚くほど変化しましたが、
きっと彼女がスタイリスになるころには、もっともっと時代は変化して、
美容業界も変化していることに違いないはず。
昔みたいに、若い世代へ「とにやくやれ、とりあえずやってみろ」
みたいな教え方をする時代ではなくなりつつあります。
とは言いつつも、自分たちは「それが当然」で育った世代。
辛くて苦しいのが当たり前、誰かに丁寧に教わることもなかった世代です。
営業時間内には当然練習はできず、閉店後から終電までの限りある少ない時間をもくもくと練習してきた世代です。
時代は変わり、そんな教え方をしていては今じゃ「パワハラ」とさえ言われかねない時代です。
残業代が出ない練習はブラックとさえ言われるでしょう。
若い世代へ「やさしく、丁寧に、親切に教える」
これで、本当に厳しい社会を生き残れるスタイリストに育っていけるのか疑問に思うこともあります。
彼女自身も日々葛藤はしていますが、正直にいえば教える側も葛藤している日々です。
その答えは、彼女がスタイリストになれた時に初めて出るかもしれません。
私たちができることは、今教えられることをしっかりと教え、次の世代につなげていくこと。
「人に教える。」
それは、つまり今の自分とも向き合うことかもしれないですね、トニー店長の言葉です。