アトリエでは、お客様の着物リメイクの制作や、急ぎのお客様のドレスリメイクなどを進めています。
桜のお花の時期にステージに立たれるM様のドレスをお直ししていましたら、浮かんだ言葉がありました。
自然界に咲き誇るお花は、一つ一つが違っていて均一ではない。
違いがあるからこそ、それぞれが生き生きとしている。
その美しさをドレスにも感じられる、そんなリメイクができたらいいな...。
と感じながら制作していました。
今日のフィッティングでは、お袖のドレープの表情の確認をし、まさに桜の季節にぴったりなドレスをまとったM様から、嬉しいお喜びのお言葉をいただきました。
またM様が、次のステージで歌われる譜面を見せてくださり、その歌詞の美しさに感動のあまり涙がこぼれました。
「美濃びとに」 北原白秋
1 うた
うたは ただほのぼのとの、
よいにほひでの、
さいたばかしの はなのやうでの、
しなのたかい、いきづかひでの、
それは さびしいたましひの ほほゑみでの、
さうありたいとおもふがの、
みなさまどうぢやの。
北原白秋さんの詩に触れて、今までのものづくりで自分の理想としているものが、決して奇をてらったものではなく簡素で、気品を感じられるものであること。それは自然界のお花の美しさのようなさり気ないものでありながら、人の心を照らす微笑みのようでありたいという言葉に心が重なり、思わず込み上げてきてしまいました。
私たちの作り出すものは
ただほのぼのと
良い匂いでの
咲いたばかりの花のようでの
咲いたばかりの花のようでの
品の高い息遣いでの
寂しい魂の微笑みでの
そうありたいと思う
みなさまどうじゃの*
この言葉を、いつも目につくところに貼って、ものづくりに励もうと思えた一日でした。
お客様との出会いやご縁が、魂の奥深くから豊かにしてくださる学びにつながり、日々成長させていただけることに心から感謝しています。




