今回の旅は、JR東日本のきゅんパスという一日限定のお得なプランを利用して行ってきました。

2月14日から3月14日までの期間、バレンタインからホワイトデーにかけての日付が対象になっているので、きゅんパスだなんて(笑)可愛い。

 

山形ご出身のお友達のKimiちゃんに「明日日帰りで山形市に行ってきます」とメッセージしたところ、山川しみぬき店さんの周辺のおすすめのお店や少し離れているけれどおすすめの情報をいくつも送ってくれました。

 

Kimiちゃんは山形県酒田市のご出身ですが、20代の頃山形市に住んでいたことがあるそうで、地元の人しか知らないようなお店ばかりを教えてくれて嬉しかったです。

 

それだけではなく「山形市は今、道路に積雪はないけれど、日中の気温は低く夜には雪が降るので暖かくしてお出かけください」とメッセージをくれて感動。Kimiちゃんは私よりもかなり年下のお友達ですが、こんなお気遣いができるなんて尊敬。そして山形の方々の優しさに触れられてとても幸せでした。

 

 

 

国立市にあるアトリエ「ルーチェ クラッシカ」のデザイナー・光田 みどりです。

 

山形市にある「山川しみぬき店」さんの取材、いよいよラストの工程「干し場」にお邪魔させていただきました。

 

実際に洗い張りの作業を行いながら、終始笑顔でご説明くださったのは山川 裕之さん。

貴重なお時間を割いて、実演して下さって本当にありがとうございました。

 

 

前回のブログでは、「洗い場」にて丁寧に洗われた後、十分なすすぎをし、仕上げのすすぎではプレス機にかけたところまででした。

プレスされ、ある程度の水分も抜けたところで、2Fの「干し場」にご案内して下さいました。

 

風情のある木の階段を登ったら、そこはなんと美しい光景。

今洗い立ての着物地を、そっと優しく干していきます。

 

こんなふうに着物の長い反物が竹竿に干されている姿を見たのは生まれて初めてでした。

もう、それが使い込まれたお着物だったと思えない新品同様の姿です。

 

洋服の生地の幅は、狭くても90cmから110cm、広いものだと140cmと広幅で、効率よく裁断するのには向いていますが、着物地の幅が約35cm前後という狭いことも、こういう場面では理にかなっているように感じました。

 

ものを大事にするのが当たり前だった日本の文化の「洗い張り」は、以前家庭でも行われていたそうですが、今私たちが着物リメイクを手がけることができるのは、山川さんのようにプロフェッショナルな方の存在があってこそ実現するのだとしみじみ感じることができました。

 

干し場の心地よい空間で乾いた着物地は、最終工程の「湯のし」に入ります。

ここでも、お母様がご担当されていらして、そのテキパキした動きに見入ってしまいました。

 

熱と蒸気が出る、このプレス機は何と高級外車が買えるくらいのお値段!!なのだとか。

確かにその存在感はありますし、布地を平らにならしてほぼ新品の着物地に再生してくれる優れ物であることはすぐにわかりました。

 

このペダルを踏んで着物地の幅を調整するのだそう。

使い込まれた機械は、壊れても修理してくださるメーカーさんがなく、何かあったときは機械に詳しい人に見ていただいているそうです。

 

たくさんの時を重ね、様々な思いの込められた着物地を蘇らせてきたのだと思うとジーンときてしまいます。

 

このスイッチも、たくさん働いて今もなお現役で活躍してくださることに感謝が込み上げます。

 

「湯のし」でまっさらな状態に仕上がった着物地をお母様がくるくると巻いて「完成」です。

「洗い張り」の長い道のりの工程を全てご案内くださり、ありがとうございました!!

 

 

☆あとがき☆

カウンターの下にあった竹尺(たけじゃく)。

1センチの目盛りがないことから、おそらく「尺とか寸」の単位の時代のレア物です*

 

山川さんが画像を見せて下さったのは、着物の柄が抜けてしまった場合の染色したもの。

加賀友禅の工房で5年間のキャリアがあることから、しみ抜きをするだけでなく、柄や金加工などの修復作業もされる腕前をお持ちだそうで、お着物を着られる方にとって、いざというときに本当に頼りになる存在です!!

お母様は、ご自分のお部屋からミシンを持ってきて下さって、自動糸通しのレクチャーをして下さいました。

お仕事もプライベートもとっても楽しんでいらっしゃる様子が伝わってきて、私ももっと人生を楽しもう!!そう思えるきっかけを与えて下さいました。

 

実はお店を訪ねてお話を伺った一番初めに、山川さんがおっしゃられたことは「せっかく東京から来てもらって申し訳ないけれど、洗い張りの仕事は正直言ってあと何年続けられるかわからない状態です」とのこと。

 

それだけ手間と時間がかかり採算の合わないお仕事だということは、洗い張りを仕上げていただく度に感じてはいましたが、「やはりそうでしたか」という言葉しか出ませんでした。

 

日本人の独特の感性から生まれた長い長い歴史のある「洗い張り」という技術が途切れてしまう寸前なのだと知りました。

 

 

世界的なデザイナーのクリスチャン・ディオール(1905-1957)が日本の服飾界に何か伝えることがありますか、と問われた際に「日本のキモノを決して忘れないように。私は日本を訪れたいと考えていて、日本の古い歴史、芸術的な美しいものを存分に吸収したいと思っています」と答えたというエピソードを思い出しました。

 

私自身も着物を着ることはほとんどないのですが、日本の着物の美しさや繊細さ・素材の素晴らしさを着物リメイクを通じて残していきたいと心に刻むきっかけになる貴重な一日を過ごさせていただきました。

 

山川さんとお母様には、大変貴重なお時間とかけがえのない体験をさせていただき、本当にありがとうございました。

またお忙しい中、こちらがお邪魔しましたのに、お土産のお菓子までいただき恐れ入ります。

 

感謝という言葉では足りないような、もどかしい気持ちですが、素敵なご縁を結んでくださったアルファプラスサービスの堺さん、数々の素晴らしいお写真を撮って下さった吉村 直樹さんにも心から感謝してこのレポートを結びにしたいと思います。ありがとうございました。

 

☆洗い張りの取材・企画&コーディネート アルファプラスサービス堺さん

☆全てのお写真撮影・フォトクリエイター 吉村 直樹さん

 

 

 

今日も最後までブログを読んでくださってありがとうございました。

 

 

着物リメイク「Luce-Ninifuni」サイト

着物リメイク「Luce-Ninifuni」Instagram

 

 

ウェディングドレス ルーチェ クラッシカのサイト

ウェディングドレス インスタグラム

 

 

mocoさんのドレス撮影サイトはこちら→ウエディングドレスフォト

mocoさんのドレスフォト@dressphoto_trois_anges