国立市にあるアトリエ「ルーチェ クラッシカ」のデザイナー 光田 みどりです。

 

 

 

22歳の若さで戦争で亡くなった叔父(父の兄)。写真は10代の頃のものだと思います。

 

もちろん会ったことはないけれど、祖父母の第一子で周囲からの期待が大きかったという叔父は、おばあちゃん子だった私にとっても子供の頃からいつも心にある大きな存在でした。

 

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小学生だった私は自分の学習机よりも、手作りが得意だった叔父が作ったという木製の黒い勉強机で宿題をするのが好きでした。家族も褒めてくれるし、なんだか賢くなったような気分になれるのが楽しかったから。

 

 

 

戦死した息子を想い80代の祖母が泣くのを見た時に、まだ子供だった私は何十年前のことも思い出して泣くのが理解できなかったけれど、大人になってその考えがどれだけ浅はかなことかを知りました。
 

 

 

「朝起きたらまず顔を洗い口をゆすいで、神棚と仏様にお祈りをする」という祖母の習慣が今でも私の体に染み付いていることは、亡くなった人との繋がりや結びつきを感じることで、今を強く生きられることを体験を通して知ることができたからだと感じています。

 

 

 

 

2014年に姉と一緒に祖父のアルバムを整理した時に、叔父が書いたと思われる民謡の歌詞が出てきました。

 

 
佐渡おけさの歌詞を叔父がどんな気持ちで書いたのか、どれだけ家に帰りたかったか。
両親や妹弟に会いたかったか...と考えると今でも涙が出ます。
 
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私たちの先祖が暮らした時代は、今よりももっと厳しい自然と向き合い、周りの人々と助け合いながらものを大切にし、遠い未来の子孫のために精一杯生きた時代では...と想像します。
 
その時代の人たちに想いを馳せることで得られる安心感や豊かさは目に見えないけれど、かけがえのないことだと実感しています。
 
 
 
 
祖父がお気に入りで父に譲った着物の胴裏(裏地)は、現在市販されているものにはない優しい肌触りと温もりがありました。
 
一般的には洗い張りをせずに処分されるものと聞きましたが、どうしても捨てられずにいつか形にしようと決めていました。

 

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父らしい昇り龍の柄の肌襦袢の胴裏も、渋い色だけれど鮮やかな緑色も現在の緑色にはない美しさがありました。

 

 
祖父や叔父、父と同じ家に生まれ育った弟と甥のためのシャツを作りました。
(緑色の肌襦袢の胴裏は生地が少なかったため、袖と襟にストライプの生地を使うことでモッズ風のシャツに仕上げました)
 
 
子供の頃から祖父が作った様々な道具や手作りのものが身近にあったため、私たちの前の代の人たちの暮らしの息吹を感じていて、その力で守られていることを自然に受け止められました。
 
 
時代はどんどん変化していくけれど、忘れたくない大切なもの。
 
目に見えない大切なものを心に刻むため、形のある新しいものにし笑顔を増やすことができたら、と思いスタートした着物リメイクです。
 
 
今を生きる人間だから今しかできないこと
 
やりたいことをやる。
 
 
自分のルーツに触れるとき、心からの生きる喜びと力が与えられるのを感じます。
 
 
父が亡くなる少し前から亡くなった後にかけて、家族に幾つもの奇跡を見せてくれました。
死後も繋がりは途絶えることがないよ、と知らせてくれているみたいでした。
 
そのことが先祖に守られている力を、改めて肌で感じるきっかけになりました。
 
 
素材の良さを引き立てること
着る人の魅力を引き出すこと
 
がデザインの第一歩だと考えています。
 
細やかなディテールは嬉しさや喜びに繋がります。
 
一つ一つの工程を大切にし、大切な思い出を新しい形に残します。
 
 
 
 
(最後の写真は父が20代の頃のもの)
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今日も最後まで読んでくださってありがとうございました。
 
 

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