染織家で人間国宝の志村ふくみさんが、以前テレビ番組で

万葉の時代の日本人は、恋心を色に託したり、遠くにいる人への思いを色で表現していたとおっしゃっていました。

また、色は単に色であるだけでなく、その奥に秘められたメッセージがあるとも。

古今集や新古今和歌集でも、色なき色のことまで詠まれていたとのこと。

 

日本人が香り、音、色、季節にいかに敏感で繊細な感受性を持ち合わせていたかを伺えるお話で、心に届きました。

まさにウェディングドレスは、色なき色。
 



この仕事に携わることになった20代半ば、どうして自分は色遣いがとても好きなのに、色のない白い世界に足を踏み入れてしまったのだろう...と何度も思いました。

今になって思えるのは、白は究極に難しい色。
色合いで勝負できない分、すべてのものが表に映し出されてしまうからです。

素材も、品質も、縫製も、パターンも、デザインもすべてのことが明らかになってしまうのです。


 

だからこそ、飽きることがなく究極を目指したくなり、続けて来られたのかも知れないというのが今の本音です。

素晴らしい色を作り出す志村ふくみさんの染織の世界に触れて、心からその染めと織物に心震え、「色なき色」という美しい言葉に出会えたことも忘れられない感動です。


いよいよ明日から11月のはじまりですね。残り少なくなってきた2016年ですが、すべての人にとって充実した月のスタートでありますように*