本の情報を調べたり、祖父母から話を聞いてこいと言われたので、
私は当時健在だった祖父にかなり気軽な気持ちで戦争の事を聞こうとした。
『おじいちゃんにはね、7人の兄弟がいて…』
そういって表情を強張らせ固まってしまった。
しばらく沈黙が続き、そして唇を震わせながら、またゆっくりと話し始めた。
『家族のほとんどが戦争で亡くなってね、今でも思い出すと…
ごめんね、おじいちゃんやっぱり体験談は話せない、ごめんね…ごめんね』
と言って、おじいちゃんは涙を一粒流した。
私は幼かったけど、戦争の絶望的な悲惨を理解するには十分だったと思う。
人は忘れる生き物だとか
時間が忘れさせてくれるとか言うけど、
戦争のような悲惨な記憶は、風化はしても忘れることはなく、
気持ちの奥底にしまうしかなかったのかなと思った。
私には想像もつかない辛い話を無理矢理取り出そうとしてしまった気がして
泣きたいくらい申し訳ない気持ちになった。
何があっても愚痴や弱音を吐かなかった強気なおじいちゃんの言葉にならないほどの想いと涙が、
その後に聞いたどんな素晴らしい体験談よりも強く強く伝わって残った。
言葉を越えるほど強い想いや出来事は
それを受け取る側にも一瞬で一生ものの
記憶を残すものなんだなと思いました。