友人との会話で思い出した「貧乏神」のエピソードをご紹介します。

 

夢野久作の『狂歌師赤猪口兵衛』という作品に、

 

「貧乏神でも神様は神様……怨んだり、軽蔑したり、粗略にしたり致しますると貧乏罰というものが当たる」

 

という一節があります。

 

そのエピソードが大変興味深く、以前にも(アメブロに来る前)ブログに書いたくらいです。手短に概要をご説明しましょう。

 

やっとの思いで貧乏を脱すると、自分自身が本当の意味での貧乏神=不景気の親方になり、自分の利益ばかりを追求し、大切にしなければいけない人への施しもせず、恥は掻き放し、義理も欠き捨て、人情も踏付け通しで、盗みや詐欺を繰返しながら、私腹を肥やすようになる。

 

私の言葉でまとめた概要ですが、自らの浅ましさで、本当にみみっちい貧しい人間になり下がるということですね。

 

とても深く、考えされられる作品です。

 

猟奇殺人を解決する推理小説としても面白いです。青空文庫で読めますので、ご興味のある方はぜひ!