ジェフリー・サックス監督の『フランキー&アリス』を鑑賞しました。ホラーではなくノンフィクションものですね。

フランキーという多重人格の女性が主人公です。ひらたくまとめると、フランキーが自分の中に生まれてしまったアリスと、肉体を巡ってバトルするというストーリー。記憶にない行動とお金使いに悩まされているところに精神科医が登場し、自分の生い立ちが思い出されていきます。話は普通ですよね。ノンフィクションですしw

この映画を鑑賞する際の注意点は、エンディングのクレジットロールを最後までしっかり見ることです。エンディングにその後のフランキーのエピソードがテロップで表示されますよ!



ここからはネタバレ入ります!



ここに描かれた多重人格の女性は黒人です。けれど、肉体をのっとろうとしている人格は、自分を白人だと思い込み、黒人を毛嫌いしています。なんか、とてもシュールですよね。切なくなってきます。

1つの肉体を持ち、その中に異なる人種が誕生する……

実話をもとにした作品なので、本人の中に、こうした人格が本当に生まれたのかもしれませんが、フランキーに限らず、すべての人々に問いかけられる問題が示唆されているように思いました。

肌色や骨格の違いは、生まれた場所で大抵決まってしまうものですが、どんな容姿であろうと、その中に誕生した人格が別の人種だとしたら、人種差別は無駄なあがきにしかなりません。それでも差別をしたいなら、それは人種差別ではなくエゴにつながるでしょう。

実話をもとにした作品でしたが、人種差別や見栄とエゴがいかにくだらないものなのかを問われているように思いました。

こうやってまとめてみると深い作品ですね。ちなみに、たまにフランキー風な人に遭遇します。いきなり顔つきが豹変して言動が激しくなる人です。いますよね?! 隠れフランキーは、自分の人格が中で分裂していることに気づいていないと思うのでかなり厄介です。人は誰でもいろんな顔を持って生きています。名もなき存在であっても、その顔の強弱が激しくなってくると危険な兆候にあるのかもしれませんね。