これから色々な表現者の方たちの記事を拝見させて頂けるのをワタクシ自身も楽しみでなりません。
さて、
まずは簡単な自己紹介をさせて頂きます。
ワタクシ田中マコトは、主に「劇伴音楽」と呼ばれる音楽の作曲を生業としていまして、
…分かりやすく言いますと、映画や舞台劇、ドラマやアニメーション等のBGMを作曲する職業作曲家といったところです。
愛猫のハンサム君と日々幸せに暮らしています。

まぁ、ワタクシはそういった仕事のみで生活費を賄えているわけではないので、偉そうな事は言えないんですが…。
せっかくこのような執筆の機会を頂きましたので、普段の仕事の工程や、普段は皆さんがナカナカ触れる事のない「音楽制作の裏側」を紹介させて頂きたいと思います。
・作曲をする事にあたっての「付加作業」
作曲の仕事とはいえ、自宅で黙々と作曲作業だけしているわけではなく、様々な「付加作業」がついてきます。
依頼を頂いたクライアントとの打ち合わせや、デモが出来た段階で電話やメールで方向性について打ち合わせたり、
舞台劇の音楽制作の場合は実際に劇団の稽古場にお邪魔して、音楽をつけるシーンのおおまかな時間を計ったりと。
当然、劇団員の方達とのコミュニケーションも大事な仕事のうちだと考えています。
今秋に行った都内中学校での朗読劇公演では、劇の進行に合わせてBGMになるピアノを実際に舞台袖で演奏しました。
このお仕事をやらせて頂いた時には毎週のように中学校の体育館に通い、劇団の皆さんと稽古に励みました(これは本当に楽しかった)。
・・・といった感じで、実際に作曲作業をしている時間よりも、このような「付加作業」を行っている時間の方がもしかしたら長いのかも・・・と思ったりする事もあります。
もちろん、こういった付加作業の下で色んな方達との出会いも生まれるわけですから、ワタクシにとっては非常に大事な時間だと言えます。
それに、制作に行き詰まった時などは、家に籠っていても何も解決しませんからね。
・作曲の作業工程
これは作曲家によって様々だと思いますが・・・ワタクシの場合の作曲作業の工程を紹介します。
♬舞台劇や朗読劇の音楽制作の場合♬
まず台本を最後まで読み、演出担当の方と音楽挿入箇所について打ち合わせます。
音楽を挿入するシーンが決まったら、実際にデモ音源を作成して聴いてもらいます。


ここで辛い事は、「イメージと違う」とか「楽器の数が多過ぎる。もっとシンプルに」とか言われて、作り直しを要求される事。
まぁこればっかりはしょうがない事だと思うのですが、限られた時間の中でやっているので、やっぱり辛いです。苦笑
・・・このようなやりとりを経て無事にOKを頂いて出来上がった音源を音響担当の方に納品します。
♬映像音楽(アニメーション)♬
今春には念願かなってクレイアニメーションの音楽を制作させて頂きました。
舞台とはまた違って、アニメーションの場合の音楽制作は非常に選択肢が広がります。
実写映像ではないので、色んなアプローチの音楽が使いやすくなるんですね。
クライアントから出来上がった映像をもらい、「無音」の映像に音楽をつけていきます。
普段皆さんが目にする映像には当たり前のように「音」や「音楽」が鳴っていると思うのですが、「無音の映像」を最初に見た時の恐怖感は凄いです。
思わず「・・・ワタクシにどうしろと??」という気持ちになります(笑)
そのくらい、「無音」の映像に音楽をつけるという作業は未知の作業な気がします。

写真のように、映像の時間軸に合わせて秒単位で音楽を割り当てます。
上手くまとまった時には本当に楽しいんです!
♬映画音楽♬
映画音楽の制作は、本当に時間と労力が必要になります。
もちろん、手がける映画によって様々なアプローチがありますが、「音楽制作」という意味合いでは別次元のように思います。
まず、「実写映像」に音楽をつける場合は、アニメーションに比べてかなり音の選択肢が狭くなります。
前に出過ぎず、引っ込み過ぎず。
微妙~なバランスを保ちながら音楽を生み出していき、更に監督と幾度となく打ち合わせを重ねながら作業を進めていきます。
一度OKをもらっても、映像の編集段階でイメージが変わったり、シーンの時間の尺が変わると当然音楽も編集が必要になります(最悪作り直しという事もしばしば)。
・・・こういう作業をシーンごとに繰り返し、完成する頃には監督もワタクシも精魂尽きてしまいます(笑)。
先月末にようやく完成したインディーズ映画「ちんでん金魚」の音楽制作では、実際に作曲した楽曲は数十曲にも上りますが、
もともとこの映画で音楽を挿入するシーンは3、4シーンくらいのもので、まさかこんなに沢山の作曲作業を行うとは夢にも思いませんでした。
今回制作した楽曲のうち、映画本編で採用されたのは5曲。
サイレント映画さながらに音楽が流れるシーンの少ない映画で、
映画で流れる音楽はワタクシの作曲した音楽のみです。
監督と幾度となく打ち合わせを重ねて生き残ったのがこの5曲です。
いわゆる「ボツ」になった楽曲たちは可哀想ですが、そのくらい映画音楽って特別なものなんだと思うのです。
ワタクシは音楽そのものが芸術だと思った事はありませんが、
映画音楽や舞台音楽はそれにあたるのではないかと思います。
このようなお仕事をさせて頂きながら、日々奮闘しています。
・・・第一回から非常に長~い文章になり恐縮ですが、最後まで読んで下さった方が居れば幸いです。
※上記で紹介させて頂いたお仕事で提供した楽曲やクレイアニメーションは下記より試聴出来ます。ブログも書いてますので宜しければ遊びに来て下さい!
【田中マコト myspace】
http://www.myspace.com/tanakamakoto
※楽曲製作ご希望の方はお気軽にメッセージ下さい!
・映画「ちんでん金魚」HP(仮)
http://chindenkingyo.com/index.html
・とよはしまちなかスロータウン映画祭2009
http://www.slowtown.info/
http://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/decoPeta/pc/decoPeta_19.gif