携帯電話を見つける前の意識があるときには、考え事しかやる事がなかった。
腕時計もなくなっていたので時間経過も判らない。
今回のような時に考えるパターンは大体以下のようなものが考えられた。
1.病気や先行きの事を考える
2.映画かマンガにできる物語を組み立てる(夢想する)
3.戦車の細部を考えて、どんな手順でどんな材料を使って作るか脳内モデリングをする
4.過去に読んだ小説や戦記やマンガ、映画を思い出して楽しむ
これらを考えていると大抵眠ってしまっていたから、暇を持て余すという感じでもなかった。
前回書いた涼月の事は4になるが、他にも浮かんだ本があった。
それは山本七平さんの書いた戦中の体験記だ。
『私の中の日本軍 上下巻』、『ある異常体験者の偏見』、『一下級将校の見た帝国陸軍』、『日本はなぜ敗れるのか』のいずれかだと思う。
どの本だったかは思い出せない。
山本さんはフィリピン戦線の砲兵少尉として従軍していたのだが、苦力(クーリー)として使っていた現地人に軍票を渡したところ、「オーキャプテン、オンリーペッペル ナットマネー」と言われ断られたという話だ。
つまり軍票(ぐんぴょうー知らない人は検索しよう)はただの紙切れだから、物々交換で軍が持っている塩をくれという意味になる。
この「キャプテン オンリーペッペル ナットマネー」のセリフだけが繰り返し何日か脳内でリフレインし続けた。
山本さんの本でも印象的に使われていたと思う。
一体何の意味があったのだろうか?
自分でも全く判らない。
特に意味はなかったのだと思うのだが・・・・・w