遂に開かれた日米印の晩餐会。
インド大統領の力強くも心強い演説に誰もが感銘を受けていたが、集まった世界中の記者を驚かせたのは、演説以上に…。
「凄い!同時通訳のイヤホンなしにヒンディー語がわかるぞ!」
そう、昼食会の前に、報道陣に配られた串玉型にアレンジしたほんやくコンニャク

大統領の演説を片手で食べながら聴ける便利さが大成功だった。
欧米向けに濃い味付けにすると、肝心の翻訳機能が低下するから大変でした…。
お互いの母国語で話し合えても、首脳同士は本当に本音をぶつけ合えるだろうか?
その不安を解消したのは勿論、

「ムード盛り上げ楽団」
です。
楽団の音楽パワーを聞いた後でも、「世界平和に尽力する」と宣言したインド大統領は、本当に平和を願っているんだわ…。
この日をどれだけ私は望んだことか…。
ムード盛り上げ楽団は完全に未来技術(オーバーテクノロジー)なので、報道陣は勿論、政府関係者にも秘密だ。
だから日本の総理の傍らに控える出来杉防衛大臣のポケットの中に居る。
ここまでは順調よ、ただ…。
楽団から流れる音楽は、負の感情をも強くする。
平和を望まない者は、この会談の席でどんな行動に…。
「大丈夫だよ、静香ちゃん、その時の為に僕が…。」
「あん…、伸太さん駄目…、そんな四次元ポケットの中で動かないで…。」
インド大使館職員の雁野さんを警戒する伸太さん。
小学生時代から続く、出来杉さんの成功に対する過度の嫉妬。
伸太さんが言うには、自分に狙撃依頼をしにきた茂手さんや、武さんの妹さん達を操ってるのも雁野さんではだと仮説を立てていた。ライフル銃を構えていても、私のポケットの中ならSPに警戒されることもなく安心して構え続けるのは解るけど…。
私は四次元ポケットの中とはいえ、自分の胎内に伸太が居るとう状況に冷静さを保つのが大変で…。そしてポケットの中で伸太さんが動く度に、大切な部分に電気が走るような衝撃が…。
楽団の音楽は私の心にも作用した。
私は…野比伸太さんという男性を産み育て、教育し、見守り、彼の母親代わりになりたかったの。
続