「女!何故、松ヤニのことを教えた?
お前なら黙って俺を燃やすことも出来たはずだ!」
「さぁ、何でかな?ただ、貴方は弟くんにリングを降りるように促したり、私達の顔を殴ったり、頭から落としたりしなかったわ。
そんなに悪い人に思えなかったわ!
それに…貴方が咲かした木綿の花を燃やしたくないわ!」
「俺の負けだ。
名前をちゃんと聞いておこうか?」
「マンドレイクの万谷湖々。
人間界のお花屋さんで見つけたら声かけてね♪」
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「湖々先輩!」
「湖々ちゃん!!」
鮮やかな逆転勝利に会場は湧くが、勝利した万谷湖々は自分に向けられた歓声よりも…。
「私だけの力じゃないわ…。
ミラちゃんと二人で勝ったんだよ…。
ミラちゃんは大丈夫?」
「ええ、保健室には今日に備えて、倫恵教官がスカウトして治美先生が選抜した医療チームが常駐しています。
姉弟ともに問題はないはずです。」
「そう、良かったわ。
皆、気をつけてね。
私達は相手が油断してくれたから勝てただけで…。」
「はい!十分に気を引き締めて挑みます。」
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「続いて第二道は…。」
立会人のマイク赤羽氏(大天使ミカエル)が抽選箱に手を入れ、取り出した紙を開くと…。
「『茶道』!第二道は茶道対決です。
両塾共に闘士2名を選んでください!」
「……。」
「……。」
会場は第一道ほど動揺はなかったが、華道と来て茶道との流れに、「やっぱりかい!」という声はあちこちから聞こえた。
「さて、どうしようか?
弓道とかよりはマシだけど、茶道と言ってもね…。」
「お茶が美味しかったらいいんだろ?
すへ子教頭から料理の授業を受けてたから何とかなるんじゃないか?」
「樹里亜さん、茶道はただのお茶淹れではありません。
厳格なマナーに従って…。」
「いや、リング上で華道のタッグマッチやってる時点で、作法もマナーも…。
真理亜塾長、私、冴木マツリは政治家の教養科目として、ある程度知識はあります。私が…。」
「待って!羅漢塾が出てきたぞ!
あれは…。」
「人間・山田洋法。
僕は茶道の経験があります。
第一道が華道でしたので、もしやと思い…。」
そこには和装で
自前の茶道具を抱えた山田さんが、狼男を従えてリングインする姿があった。
すると…。
「相手が山田さんなら、私、赤峰摩亜耶が行きます!」