塾長室に集まる、マツリ、教子、治美の三人の教官。
真理亜塾長は、ソロモンの悪魔フルカスこと、古川すへ子教頭に、喫茶ロビンフッドのティーバッグを淹れて振る舞う様に指示し、静かに語りだした…。
「こんなに早く私の秘密にたどり着くなんてね…。
流石は私が見込んだ教官だけはあるわ…。
ええ、人間だけを寵愛するヤハウェと離縁してから2000年…。
女の意地だけでこの萌慎艶戯塾を切り盛りしてきたけど、流石に限界ね…。
目暮由里亜さんが差し出てくれた「八識の冠」を孫娘の樹里亜さんに返却するには、バハムートの黄昏羅漢塾と経営統合の条件を飲むしかないわね…。
「待ってください!黄昏羅漢塾と萌慎艶戯塾が合併したら、バハムートはなし崩しに雨野うず女さんを自分の妻にして子供を生ませたら、この塾内だけでなく、天界や人間界を巻き込んで大惨事ですよ!」
「大丈夫よ…。
責任は取るわ…。
バハムート…あいつだけは…。」
「でも、バハムートって、『本体』はまだ壁の中っていうか、壁そのものですよね?
いくら『意思』と『分霊』だけで羅漢塾を執り仕切っても、じゃあ、そんな心配することないんじゃ…?」
「単純ね、教子先生。
『八識の冠』は妖精のノームとシルフが持ってるのよ。
バハムートの影をちらつかせながら、返済を真理亜塾長に迫ってるだけよ!」
「バハムートは単純にアメノウズメが欲しいだけだろうな…。
あいつに惚れてここを飛び出したゆかりには可哀想だが…。」
「でも、待って!
バハムート本体はまだ封印されてるし、羅漢塾の塾生もこことの違いは男の子ってだけ。
ならば、風の妖精と大地の妖精への借金を返済さえすれば当面の問題は解決じゃない?」
「あぁ、こんな時こそ、弁護士の倫恵先生にアドバイス欲しいよ~!」
その時、塾長室の扉を激しくノックする音が聞こえ、大事な会議だからとすへ子教頭の制止をふり切り、塾生がなだれ込んだ。
いつもの三人娘に加えて、赤峰摩亜耶も、二号生数人も居た。
「樹里亜さんから聞きました!
萌慎艶戯塾が経営難って、どうして言ってくれなかったんですか!?
私達は、自分達の学舎を守る方法を話し合いました!
私達で資金を集めるんです?」
「資金?塾外で働くとか親御さんに寄付を募るのか?」
「違います!もっと楽しく稼ぐ方法があります。『文化祭』です!
そしてイベントの一環で羅漢塾と決闘するんです!
名付けて『愕怨祭』です」続