ど、どこからそんなモノを…?」
(樹里亜)「私は落ちぶれてもスライム族の姫よ!
毒を持つバブルスライム

の仲間からシビレ薬を用意させるなんて簡単よ!」
「そんなことはどうでもいいんです!
何故、私にそのようないかがわしい薬を飲ませて、私から何を聞き出したいというのですか?」
(樹里亜)「何故って…。
真理亜塾長には私達が束になっても勝てない。
でもおクネさんには勝てる!」
「……。」
「……。」
「それだけが理由かしら?」
(ミラ)「ほかに強いて挙げるなら…。」
(おクネ)「挙げるなら…。」
(三人娘)「日頃の恨みよ!」
(かごめ)「今まで散々、時代錯誤で退屈な機織りをさせられた恨みはそんな容易くす水に流せるものではありません!(キリッ)」
(樹里亜)「とにかく!
おクネちゃんに選択の余地はないわ!
解毒剤が欲しけりゃ、キリキリ吐かんかい!」
(ミラ)「洗いざらい喋らんかい!」
(おクネ)「全く…貴女達はいつもいつも…あら、掌から蜘蛛の糸が出ない…。
ホントにシビレ薬が効いてきたみたい…。
ここは言いなりになるしかないわね…。」
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「77年前の二号生筆頭の雨野うず女。
それはそれは美しい女性でした。
舞踊だけでなく、その佇まいから艶やかで妖しい魅力を放っていました。
しかし、もう一人。
一号生筆頭の目暮由里亜(めぐれゆりあ)という女性も大変美しい女性でした。そう、樹里亜さんのお婆さまですね。
うず女さんを女性らしい女性と表現するなら、由里亜さんは凛とした男まさりの美しさでした。
竜王バハムートがうず女さんを狙う中、他の塾生は恐れおののき逃げまどうだけでした。
無理もありません。
萌慎艶戯塾では機織りにお料理という、いわゆる花嫁修業しか習ってない塾生なのですから。
しかし、たった一人でうず女さんを守り闘う真理亜塾長を助け、塾生全員を統率し、バハムートに立ち向かう姿勢を示したのは由里亜さんです。」
(樹里亜)「そんなおとぎ話はいい!
お婆さまはどんな協力をしたんだ?『八識の冠』はどんな影響を与えて、今、どこにあるんだ?
まさかかつての闘いそのものが茶番で、我が一族の家宝ただの質草になったのか?」
「ええ、八識の冠はこの塾の出資者の妖精、地のノームと風のシルフが持ってます」続