私は一角兎の妖怪「アルミラージ」

の因幡ミラ。
人間の姿でも地獄耳には自信があるわ。
お別れパーティーで塾長が小さく呟いた
「こんな借金まみれの私を滅ぼしてくれるなら…それもいいかもね」
との言葉。それを親友の樹里亜とかごめに話したら…。
「…にわかに信じられんが、それが本当ならいろいろと合点が行く…。
塾長が借金まみれということはこの萌慎艶戯塾が赤字経営ということか…。
なるほど、ただでさえ安い授業料に新しい教官を五人も雇い、なおかつ全寮制…。羅漢塾側に強い態度に出られないのもその為か…?」
「樹里亜さん、今現在の問題ばかりではありません。77年前の逸話もまさか…。」
「ミラ、かごめ!宴会は終わりだ!
一号生筆頭・目暮樹里亜。スライム族最期の姫として真実を確かめる!」
「樹里亜、威勢がいいのはあんたの可愛い所だけど、どうやって確かめるのよ!?真理亜塾長に尋ねて『はい、そうです』って言うわけないでしょ?」
「兵法において一番弱い者を攻めるは定石…。」
**寮長室**
(樹里亜)「失礼します!一号生筆頭目暮樹里亜以下三名入ります!」
(おクネ寮長)「あらあら、三人お揃いでどうしましたか?お別れパーティーがお開きにしてはまだ早くなくて?」
(かごめ)「いえ、自分達は寮長の姿が見えないことに疑問を抱き、こちらに訪ねさせて頂いた次第であります。」
(おクネ)「あらあら、私なんかが居なくても誰も気付かないかと思ってましたが…。
ごめんなさいねぇ、二人も教官が突然辞められると、引き継ぎが大変で…。
未処理の書類が山ほど…。二人には別の機会に挨拶しておきますから…。」
(ミラ)「おクネさん、せっかくパーティー気分だけでも味わってくださいよ!
ほら、会場からサンドイッチとチキンを持ってきたんです!」
「あらまぁ…いつも悪戯ばかりしてた三人娘がいつの間にこんな気遣いを…年を取ると涙腺が弱くて…。」
「寮長、お聞きしたいことがあります!
そう…この萌慎艶戯塾の経営状態とか…。」
「77年前に私の祖母が手放した『八識の冠』の行方とか…?」
「あ、貴女達!どこでその話を!?
私が喋るとでも思って?」
「喋らないのは自由よ。
ただ、質問に答えないと、食べ物に含ませたシビレ薬の解毒剤はあげないわよ」
続