「じゃあ、皆!せ~の!
ゆかり教官、倫恵教官、短い間でしたけど今まで本当にありがとうございました!!」
塾生寮の大食堂は急ごしらえの「お別れ会」となった。
マツリちゃん達に心意を告げた日。
みんな私の意思を尊重してくれた。
驚くほどあっさり受け入れてくれて、悩んでた自分が馬鹿みたいだった。
それもこれも倫恵先生が「塾外で卒業生のサポートに専念する」と言ってくれたからだ。
おかげで私も、いつの間にか「内側から黄昏羅漢塾を変える為」って目的に誤解されちゃって…。
竜王への恋愛感情だけは言えてないままです…ごめんなさい…。
「来たわ!塾長よ!
全員気をつけ~い!!」
「私が萌慎艶戯塾塾長・三好真理亜である!
ゆかり教官、倫恵教官、今まで本当にありがとう…。
貴女達が持ち込んだ新しい風は、今の塾生だけじゃなく、未来の塾生にも大きな力になったわ…。」
「塾長、私はこれからも萌慎艶戯塾の一員ですよ!
計画は以前から打ち合わせてた通り…。」
「ええ、法律家の貴女が卒業生の就職支援をしてくれるなら百人力よ!これで悪い人間に騙されて※MV女優に身を堕とす子も減るはずよ。」
※作者注「MV女優」とは「モンスタービデオ女優」または「ミステリアスビデオ女優」の略です。
人間界で就職出来ない妖怪女性が、妖怪の力と姿をさらけ出て、その「本物の映像」でお金を儲ける違法行為であり、天界と妖精界を悩ます社会問題となってます。
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「真理亜塾長、でも私は…。」
「ゆかり教官…。
ごめんなさい…全ては私の力不足で…。本当は公明正大に『彼』との仲を応援したいのに…」
「塾長だけは見抜いてたんですね…。
恩を仇で返す形を…でも真理亜塾長に出会えなかったら、私はあの人にも出会えなかった!
私の方こそ恨まれるかと…。」
「『彼』とは13夜連続で死闘を繰り広げたから解るけど…私には守るべきものがあっただけで『彼』個人は嫌いじゃなかったわ…。
ゆかりさんにはゆかりさんの幸せがあるわ、それだけの話よ。」
「私、『彼』を『壁の中』から助けたいって思ってるんですよ?
そしたらまた萌慎艶戯塾は存亡の危機ですよ?
何でそんな私を、そんなに嬉しそうに送り出せるんですか?
もう私、わけわかんないです!」
「こらこら、教官が塾生の前で泣かないの。
ふふ、貴女と『彼』が二人三脚で、こんな借金まみれの私を滅ぼしてくれるなら…それもいいかもね」続