それぞれの道~妖!萌慎艶戯塾 33話 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
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否応なしに決断は迫られていた。
黄昏羅漢塾のバハムート塾長は真理亜塾長ではなく、私達五人の教官宛にメッセージを送ったのが真意だとは解っていた。

「何を今さら…。」

人間界の喧騒に嫌気が差し、これ以上父の政争の道具にされまいと、萌慎艶戯塾と真理亜塾長の元に逃れてきた自分が再びここでも政争に巻き込まれるのかと、自室のベットで自嘲気味に己の運命を呪う冴木マツリだった。
命は惜しくない。
自分は三好真理亜塾長こと大天使ガブリエルのお導きに従うのみだ、と改めて誓うのだが、マツリの決心を鈍らせる事案が二三ある。
まずは
「全てが明るみになった時、美しきお嬢様方はいつまでガブリエルの味方を出来るでしょうか?」
とのバハムートの言葉が頭から離れない。
確かに…。

真理亜塾長は私にも、すへ子教頭にも言ってないことがきっとある。アメノウズメの謎ばかりじゃない。彼女の現在の行方についてはドクター治美と教子師匠に任せるとして、私の疑問はバハムートとの勝負そのものだ。
バハムートとリバイアサンは大魔王サタンに仕える『偽の神』。
そして大魔王サタンは天使長ルシファー時代に大天使ミカエルに右腕を切り落とされ、「奈落」に追放され、そこでサタンとなり悪魔軍団を組織した。
ならば単純に
ミカエル>ルシファー=サタン>バハムート=リバイアサンとなるはず…。
四大天使と呼ばれたガブリエルがそこまでバハムートに遅れを取るだろうか?
しかもすへ子教頭の話にも違和感があった。
「勇気ある一号生の犠牲」
とあった。
多分、現在の一号生筆頭の目暮樹里亜の祖母が命を投げ出すと同時にスライム族の女王の宝を用いてまで真理亜塾長との封印に協力した。
と、あった。
そもそもたかがスライム族の助太刀くらいで戦局が有利になるか?
私にはそうは思えない。
きっと、ガブリエルいや、真理亜塾長は戦いに全力を出せない「足枷」があったはず。樹里亜さんのお婆様は王家の宝を使って真理亜塾長のハンデを取り消したに過ぎないのでは?
そして「宝」を失った樹里亜さんは「没落の姫」として王家再興を夢見て、黄昏羅漢塾に己が継承すべき宝があると思いこんでいる…。
私は境遇が似てる樹里亜さんには是非とも王家を復興してほしいと思う。
それが私の最優先事項には変わりない!
だが…私の決断を鈍らせるのは親友の古瀧ゆかりの存在だ…。
あいつ…あれから様子が変だ。
モニター越しのバハムートに惚れている…。