「ガブリエル、77年の時を経て、塾生という名の私の『使徒』も集まり、君の封印の効力は弱まってきている。
ここは穏便に平和交渉と行こうじゃないか?
僕の目的は解ってるんだろう?」
「どんな理由があっても、雨野ウズ女はウチの塾生よ!
何があっても私は彼女を守る!
77年もそうやって来たわ!
それはこれからも同じよ!」
「真理亜塾長…。
単純な疑問なのだが、この男…塾長と死闘を繰り広げた怪物バハムートは、未だに『壁の中』に居るんだろう?
そもそもどうやって壁向こうに黄昏羅漢塾とやらを造って塾生を集めたり、ここにDVDを送り付けて私達と曲がりなりにも会話が出来るんだ?」
「それこそがバハムートの恐ろしき魔力の由縁なのよ…。
簡単に言えば『意志の力』ね。
私が封印して壁に閉じ込めても、バハムートの『意志』までは封印出来なかったの。
彼は自分の思いを願うだけで羅漢塾を建設し、塾生を集め、教育し続けているの。
勿論、彼の意志に魂で呼応した悪魔や妖怪あってこそだけどね。」
「大天使ガブリエルに封印されても、『念』だけで同じ様な塾を作り、外側から自分の封印を解ける若者を集め育て続けてきたってことですね…。執念というか…ただ肉体的に強いだけじゃないもっと異質な…。」
「眼鏡のお嬢さんに適切な評価を頂き光栄です。
そう!我が盟友リバイアサンは『神が造りし最強生物』との名を賜ってますが、私バハムートこそは『神が造りし最高生物』との誉れを頂いております。
しかもリバイアサンはサタン君に迎合して『嫉妬の魔王レビアタン』として悪の眷族に名を連ねましたが、私バハムートは断じて悪魔族ではありません。
五人のお嬢様方…そこだけはご理解を…。」
「黙示録戦争を起こす怪物ってのは一緒じゃない!
アメノウズメなら私でも知ってるわ!
天照大御神を天の岩戸から出す為に艶やかなダンスを披露した芸能の神様でしょう?
世の男性が彼女に魅了されるのは解るけど、ライバルの男を皆殺しにしたり、拒否ってるウズメちゃんを強引にモノにするなんて、77年も経過したならいい加減諦めなさいよ!」
「人間の弁護士先生と理詰めで張り合うのはまた別の機会に…。
ただ、私は私であくまで自分に認められた範囲の権利を主張しているだけですよ。
全てが明るみになった時、美しきお嬢様方はいつまでガブリエルの味方を出来るでしょうか?
一号生の山田君にアル君…忠実な使徒になる日は近い」
続