番外編~ガーゴイル鳥羽かごめの乙女な葛藤 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

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このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

そうだ、この端正な顔立ちの男、何処かで見たことがあると思えば…。
摩亜耶さんが見せてくれた写真の婚約者の男性!
と、すると本当に人間…!?

「さぁ、詳しい話は塾長室でお茶でも飲みながら聞くわ。
鳥羽かごめさん、貴女も来なさい。」

「わ、私も?しかし…。」

「ここで貴女を帰すと、彼を疑ったままになるでしょう?
直接話を聞きなさい。」

「は、はい…。」

中庭から塾長室まで歩くなか、気まずく重苦しい雰囲気で私は歩を進めた。
前を塾長が歩いているとはいえ、人間の男性と隣合って歩くなどと…恥ずかしい…手を繋げそうなほど近い距離ではありませんか…破廉恥な…!

「あ、あの…貴女も摩亜耶を知ってるのですか?」

(ひゃう!
しょ、紹介も挨拶もなしに男性から話しかけるなどと何と破廉恥な…!
いや、待てよ、鳥羽かごめ。
彼は人間界で生まれ育った人間。
ならばこれは人間の男性に取って当たり前であり常識のこと。
人間社会を学ぶ為に入塾した私に取ってこれは絶好の機会なのでは?
いえ、好機とは親友の婚約者とかそういう事ではなくって、私は誰に弁明してるのだ?
そうだ、妖怪の村の古い掟に固執するから、いざ人間社会に出ると騙されて、MV女優に身を堕とす羽目に…。
生きた教科書とはこのことだ…頑張れ、鳥羽かごめ。お前なら出来る!)
以上、鳥羽かごめの脳内サミット閉幕。

「はい!
赤峰摩亜耶さんは私の親友の因幡ミラと寮が同室でして…」

「そうなんですか!
良かった!摩亜耶はここで上手くやってるんですね。
待てよ、因幡ミラ…ってまさか…。」

「は、はい!弟さんの因幡アルさんは黄昏羅漢塾の塾生です。」

「やっぱりそうだ!
僕と羅漢塾の塾長との間を仲介してくれたのは因幡君だよ。」

(ミラの大馬鹿者め!
いつも弟の自慢ばかりで、そんなの全然話してくれなかったではないか!
ミラはまさか、弟さんを介して彼と既に面識があったのか?
だとしたら私と樹里亜さんに黙ってるなど個人的に許せぬ…!
ミラめ、帰って来たら文字通り吊し上げてやる…!」
****
「さぁ、入って!
喫茶ロビンフッドのティーバッグを淹れるわ。
鳥羽さん、貴女も座ってなさい。」

「ティーバッグ?
じゃあ、これを使ってください!
僕の工場で作った蜂蜜です。」

「工場?」

「申し遅れました。
僕は山田洋法(ひろのり)。
僕の父と摩亜耶の父は親友でありビジネスパートナーです」