五人の女性と同じ席に着いた三好真理亜は、ロビン店長にダージリンティーを頼むと同時に
「沙代理さんに運ばせて」
とお願いした。
紅茶を運んでくる女性だから、この店のウェイトレスだろうか?
自らを塾長と名乗る真理亜は、五人の女性の気持ちが整うことなどお構い無しに自らの話を切り出した。
「貴女達五人を優秀な『先生』と見込んで、私の塾で働いて貰えないかしら?
可能な限りそちらの条件に合わせるわ。」
真理亜のその落ち着いた雰囲気は余裕とも見えるし、少し優越感に浸る様にも見えた。
しかし、それは五人の女性が条件を結果的に承諾してくれることを全て見透かしているかの様な態度だった。
「…本当に突拍子もないですね。
塾の講師?先生?
私達のことを事前にどれ位に調査されたかは存じ上げませんが、私を知る限り、体育教師の大月さん以外はみんな教鞭を取った経験はありませんよ。
貴女がどんなトリックを使ったかはありませんが、あまり強引に交渉を続けるなら、「詐欺」「恐喝」「強要」などの罪に抵触せずに話を進めることをお勧めさますわ。
私は弁護士ですから。」
綿貫倫恵はあくまで冷静に真理亜を「人間同士」の交渉のテーブルに着かせようとした。
この超自然な現実に対して、何とか論理的な結論を出そうとしていた。
だがその目論見は、紅茶を運んで来たウェイトレスによって木っ端微塵に打ち壊された。
「ダージリンです…。
皆様、はじめまして♪
当店で歌手兼ウェイトレスを務めます鮎川沙代理(あゆかわ さより)です。
真理亜さんのご依頼でロビン店長の命により、正体を現すご無礼をお許しくださいませ♪」
沙代理という女性は20代前半のロングヘアの可愛い顔立ちで男性客から人気のありそうな女性だった。
ほどなく、男性ウェイターが水の入った金タライを運んで来た。
沙代理がそこに裸足で足を付け、制服のボタンを外しはじめ…。
「ちょ、ちょっと、何?この店そっち系のお店じゃないでしょう?」
「大丈夫です。男性客の場合なら別料金ですから♪」
沙代理の綺麗な御脚はコバルトブルーの鱗に包まれ、その胸も鱗の天然ビキニに覆われた。
「見ての通り、人魚です。直ぐには信じられないでしょうけど♪
でも、私からもお願いします!
今、妖精界と人間界は未曾有の危機なんです!
これ以上、人間界に馴染めない妖怪と妖精が罪を犯さない為に、萌慎艶戯塾と真理亜塾長を助けてください!」
続