僕たちに許されたブレイクタイム(ここまでの流れ) | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

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秋の高校野球滋賀県大会二回戦。

甲子園常連校の山室大学付属高校との大会に臨んだ貴川西高校ナイン。

一年生の金城慎太郎は、同級生の玉野秋成の指導や先輩のアクシデント等が重なり、九番セカンドとしてスタメン出場することとなった。

試合は貴川西のエース真山匠の好投もあり、初回のスクイズによる失点のみに何とか抑えていた。
しかし、山大付属のエース都倉のツーシームに苦しみ、五番ショートで出場した玉野でさえ、併殺打に打ち取られるほどだった。
金城は玉野に教えて貰った「ドカベン」の殿馬の打法「フォルテシモ」で内野安打を記録するが点には結びつかなかった。

六回の裏に真山はその都倉にソロ被弾を許し、0-2となってしまう。
そこでベンチは投手交代を命じ、代わりにマウンドに登ったのは、同じく一年生の小宮泰造だった。
下手投げからのシンカーでピンチを脱し、さぁこれから逆転だ!と、勢い付こうかという時、アクシデントは起きた。

先頭の玉野は本来の右ではなく左打席に入り、センター返しを試みるが、強烈なピッチャーライナーは投手都倉の顔面を砕いた。
玉野は表情一つ変えず、一塁ベース上で
「右打席なら息の根が止まってたぜ」

と吐き捨てた。
これにより審判団は警告試合を宣言した。
しかし、これはあくまで野次と暴言に対する報復行為だけであり、疑惑は闇の中だった。
場内は異様なほど沈黙し、誰もが「わざとだ」との言葉を飲み込んだ。

緊急登板した相手の二番手投手は連続四球を出し、続く八番真喜志に犠牲フライでの失点を許す。

続く九番の金城は血を流す都倉投手のことと、この様な選択をした玉野の哀しみと寂しさに冷静さを失い、自分達が勝ち進むことに疑念を抱いてしまう。
しかし、マネージャーの東瀬美由紀や、スタンドから見守る藤田のの香の声援を受け、
「自分のバットで相手を打ち負かすことが礼儀」と、悟る。

気負いながらも本来のバッティングを思い出した金城は見事に三塁線に逆転の二点二塁打を放つ。

二塁ベース上で凛々しく佇む金城慎太郎を見て、小さかったはずの恋の炎が激しく揺らめくのの香。
親友の美由紀との衝突も覚悟していた。
だが、当の金城慎太郎は、玉野の心の闇が気になっていた。
玉野の野球の師匠は玉野の姉の婚約者だったこと。
そしてその彼はもうこの世に居ないこと、その死は玉野の打棒とその野球センスに起因するのか?

そして自分は玉野秋成を救えるのか?と…。