玉野秋成(たまの しゅうせい)
184センチ
81キロ
右投げ右打ち
遊撃手
東京の静かな場所から越境受験してきた高校一年生。
寡黙で端正な顔立ち故に、近寄り難い雰囲気を醸し出していたが、弱小野球部に勝利を持たらせた救世主として、一躍人気者となる。
金城慎太郎(きんじょう しんたろう)
172センチ 68キロ
右投げ左打ち
二塁手
幼なじみの東瀬美由紀に憧れて同じリトルリーグに入ったのが野球をはじめたきっかけ。
才能も体格も凡庸だが、人一倍練習と工夫を重ねてポジションを掴んできた。
玉野君は目的の為なら他人を傷つけても構わないのか?と、疑念を持ちはじめる。
憧れの東瀬は、自分より玉野が好きかも?と思い込んでいる。
東瀬美由紀(あずせ みゆき)
160センチ ?キロ
野球部マネージャー
元投手
玉野のお姉さんと偶然知り合ったことがきっかけで、玉野を野球部に勧誘する。
玉野の金城「だけ」に対する執着を敏感に感じ取っている。
また、お姉さんの婚約者は玉野の野球の師匠でもあったが、彼は既に他界。
玉野はその件に触れられることを極度に嫌うことにも気付きはじめている…。
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洗面所の蛇口が簡単に壊れるわけがない。
東瀬は何でそんなすぐわかるウソを…。
絶対に誰かに女子トイレで水を浴びせられたに違いない…。
口の悪い東瀬が誰かから反感を買うことはあっても、本気で恨まれるような奴じゃない!
理不尽な目に遭わされたとしても、怒りこそすれ、こんなに悲しく怯えた目をするなんて思ってもなかった。
やはり玉野ファンクラブの女子達が集団で狙ったのか?
いや、確かにリーダー格の早乙女ならやりかねない。東瀬に立ち向かっていける数少ない女子だ。
けど…早乙女と仲の良いウチのクラスの女子は、かなり早い段階で教室に居た。
取り巻き無しで、早乙女が単独で東瀬にこんな蛮行をするわけがない…。
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五時間目と六時間目の休み時間、ジャージに着替えた東瀬の周りに心配した女子が集まる。
会話の内容は良く聞こえないが、早乙女の名前が出てるくらいわかる。
「先生に言おうよ!」
と、一人の女子が言った時、僕も我慢出来ずに言った。
「そうだ東瀬、何がどうなったかはっきりさせようよ!」
東瀬は僕を見た。
その大きな瞳から大粒の涙が溢れ
「言えない!『二度と近付くな』って言われたの!
ごめんなさい…。」
泣いてる東瀬を初めて見た