「白夜の海賊紳士」1・2幕~勲章と指環 53 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

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このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

「もう!ジェリド様も素直じゃないんだから…。
リディア様の事を『剣士としての憧れ』とか『背中を追いかけていたいだけ』とか必死に言い訳してたけど、どう見ても異性としての憧れでしょ!
教会にお祈りとか言いながら結局、私じゃなくて寝込んだリディア様が心配だっただけじゃない!

せめてリディア様がシェルストーム内務卿と上手く行ってればなぁ…。
あ~ぁ、何であんな男を好きになっちゃったんだろ?
いいもん、私は私でこの劇で人気急上昇中のグレミーさんの楽屋に一人で押し掛けてやるもん!
俳優さんに憧れるのと、傍に居る人に恋をするのは全然違うんだからね!」

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「ほう、ここで待てば誰かが来ると思っていたが、修道女とは好都合…。」

「あ、貴方は…!
何故こんな所に?」
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「シスターフラウ、何処に行ってたのだ?
君もアンナさんやカイザー丞相と直接お話したかっただろうに?」

「いえ…私はいいんです…。」

「その大きな荷物はどうしたんだい?」

「えと…その…先ほど、劇場に入りたくても、事情があって入れない方が…そ、その方は劇団を大変ご贔屓にされてる方で、贈り物を代わりに渡してくれと頼まれまして…。」

「わかりました。
では自分が今すぐ責任を持って…。」

「い、いいんですジェリド様。
これは劇が終わった後に私が直接…。」
「わかりました…。
では、シスターフラウにそれは任せましょう。」
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舞台は舞台であり、それ以上でも以下でもなかった。

第一幕はリーセ王国の病床の現国王がミネルバ王女に王位を譲る場面だった。
敬愛する父王を悲しませたくない姫。
しかし、ジオン=キャラガーへの想いも捨てきれず、板挟みの心情を迫真の演技で披露するアンナ。
アンナは間違いなく、アンナであり、私と歓談した女性なのだが、舞台上の彼女はミネルバ王女であった。
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第二幕

揺れ動く心を愛するジオンに打ち明けるミネルバ。
しかし、ジオンは冷たく突き放す。
自分は外国人であり、私から見たら貴女は外国のお姫様だ。
元海賊の私とは住む世界が違うと。

冷淡な態度ながらも、苦しみながら自分に言い聞かせる様に語るスールシャール王国のキャラガー外務大臣。
それを演じるのは「本物の」カイザー丞相。
不思議と舞台上のジオン兄さんのセリフが、現実のカイザー丞相の言葉に思えてくる。
カイザー丞相も国の為にどれほどの仮面を被ってきたのだろうか?続