勲章と指環 44 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

「ハイネ殿下…?最期とはどういうことでしょう?
まさか…殿下はジオン兄さん…じゃなくてキャラガー外務大臣を更迭するつもりですか?」

「だったらどうするってんだロイ?
内務卿のお前が泣いて嘆願すんのかい?」

「ジオン兄さん!貴方のそういう言動が多くの人間に誤解を与えるから…。」

いつになく感情的になるロイ。
破天荒な行動を繰り返すジオン兄さんに対してハイネ殿下がいつまでも寛大であるはずがないのは理解出来るのだが…。

「シェルストレーム内務卿、僕は何もキャラガー外務大臣が我が国の外務大臣にふさわしくないなんて言ってないよ。
僕だってずっとジオン兄さん兄さんと慕っていたいさ…。
でも…ジオン兄さんは国政は元より、僕やロイの様な弟分よりも、リディアやエマの様な妹分よりも大切なものを見つけたようだよ。
ねぇ、ミネルバ王女?」

「わ、私には皆様が羨ましいです。
幼い時からハイネ殿下と家族兄弟の様に育ち、大人になってもその関係を保ち、なおかつ国の要職に就かれているなんて…。
お恥ずかしながら私には信頼出来る友達は居ません。
それだけにジオンは私に新しい風をもたらしてくれました…。
春を告げる涼やかな風の様に…。」

「ジオン兄さん、兄さんはミネルバ王女と懇意過ぎませんか?
親密な外交というには説明出来ないほどに…。」

「何でえロイ、今ようやくそこの地点か?
俺が料理長でミネルバが調理婦に化けた時点で察しが着くだろう?
ロイが気付いてなかったってことは、リディアはもっとわかってねぇってことか?
エマはわかってたよなぁ?」

「ジオン兄さん、リディアちゃんが人の恋に敏感なわけないでしょ!
そこらへんはロイとそっくりなんだから!」

「相変わらずエマの子守りは殿下だけじゃねぇみたいだな!
俺が南海の孤島に永住したらよろしく面倒見てやってくれよ!」

「南海の孤島!?
まさかまた海賊に戻られるのですか?
そんな事は騎士団長の私が剣に訴えてでも…。」

「……。」

「……。」

「おいエマ、こういう場合どうしたらいいんだ?」

「う~んリディアちゃんとロイにはそのまんまの言葉で伝えないとわかんないかな?
私が言いましょうか?
それとも殿下から…。」

「いいえクレイトンさん、お気遣いありがとうございます。
私の口から皆様に直接伝えます。


私は本日を以て、リーセ王国と離れ、愛するジオン=キャラガーと南の海へ渡ります!」続