漢字な感じ~?勲章と指環 33 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

「アンナ先生、貴女の説はわかりました。
だが、それは電気ウナギという伝説上の水棲生物が『最終戦争の前哨戦』を起こしたに過ぎない。
これまた伝説上の『アマテラスの民』が大戦の引き金となった理由にはならないと思いませんか?」

ロイはあくまで冷静で論理的だった。
私だって神話と聖書が重なり、考古学的にも裏打ちされているという事を知らされれば心が躍る。
それに『アマテラスの剣士』=『クニヒト』の集団は私の理想であり模範だ。
武勇が蛮勇にならぬ為には、騎士には道徳が必須だ。
確かにそれぞれが道徳を主張すれば国家として成立しなくなり、所詮は兵士に過ぎないアマテラスの剣士が立ち居振る舞いに置いても王候貴族に匹敵するなど絵空事かもしれない。
だが…私は誠の騎士とはそういうものだと思いたい…。
そう、私の師である、故トレビル将軍の様に…。

「うん、それを証明するのはこれだよ。」

学者女は再びハンカチを取り出した。
ハンカチが秘密の鍵ではない。
ハンカチに刺繍された難読文字を見せるつもりだ。
『安奈』と書いて『アンナ』と読むらしいが、私には部族の落書きにしか見えなかった。
学者女は次に手荷物から紙と筆を取り出して何かを書きはじめた。
難読文字の由来をロイやハイネ殿下に教えるのだろうが、私は「作家でもあるこの女なら、男性の心 を掴む恋文を書くことくらい容易いのだろうな」と、考えてしまった…。

「食事の最中に筆を執る無礼をお許しくださいませ、ハイネ殿下。
思いついたことを何時でも書けるようにしておくのは作家のたしなみでして…。」

ふん、殿下の前では淑女の言葉遣いか。作家のたしなみよりも貴婦人のたしなみが必要なのではないか?

「…これで『雨』って読むの。
で…これで『田』
次にさっきの二つで『雷』だよ。」

「ふぅ~ん、難読文字の文化はナイル族の絵文字に近いかと思ってたが、これじゃ物語みたいだな。」

「うん、僕もそう思う。
母から習ったのはほんの一部だけど、漢字は絵画であり、物語であり、詩編だ。そして知らない者には暗号となり、造形美と機能美を供えてると思う。
だからこそ…。

『雷』は『かみなり』これは『神(上)が鳴る』て意味がある。
だけど『雷』は『イカヅチ』とも読める。これは『怒りの槌』だ。」

「槌?まさか!?」

「さらにこれは『稲妻』で『イナヅマ』だ。アマテラスの民は雷雨が実りをもたらす夫婦の関係って知ってたのさ」