「悪魔や妖怪に関係なく、人間界で殺人未遂の罪で追われてる貴方の前に、人間の少女の陽菜を会わせるわけないでしょう?今日の生徒は全員妖精ブラウニー達のエキストラよ!
そして貴方は北御門さんの占いと、真利子の追跡術が示す通り、このビルに現れた。
そして、私が変身した陽菜の涙に惹かれて追ってくるって、思ったとおりだわ。」
「ダンダリオン!裏切ったな!」
「何言ってるの?貴方と私は最初から『嘘と錬金術の悪魔ベリト』に騙されてたのよ!
都合の良い都市伝説を真に受けて、粗悪な錬金術で貴方を破滅に追い込むのが目的だったのは明らかじゃない!
確かに私もいいお金儲けさせてもらったけど、10日しか金の形を維持出来ないなんて私は聞いてなかったわ!真利子、これで全部揃ったよね?
後はお願い。」
陽菜の姿から段田莉緒に戻り、更衣室のドアを開ける。
真っ先に入ってきたのは安藤真利子だ。
「悪魔の契約を解除するには、
1 契約悪魔を特定すること
2 契約内容を把握すること
3 契約に不備があること
4 上記3つを第三者が契約者の助言なしに指摘しなければならない。
莉緒ちゃんは自分がらい夢さんの為にそれをするつもりだったのに、らい夢さんを思うあまり自分まで取り込まれて『協力者=保証人』契約してしまったんだね…。
でも、大丈夫。
莉緒ちゃんは何も悪くないから。
訴状
『ソロモンNo.28ベリトは大瀬良らい夢に錬金術の知識、即ち、乙女の涙に含まれるナトウリムとカリウムを、金とプラチナに換える術を授けたが、契約内容に『それは10日で元通りになる』 は含まれていない。
よって公証人・アンドロマリウスは、大魔王サタン総統閣下様に対し、速やかに契約無効時の強制執行を請願する!」
「おぉ、マリリンかっこいい。」
「うん、いつも序列最下位を気にしすぎな真利子さんと違うね。」
「でも、ナトウリムとカリウムって?」
「そこまで正確に言わないと効力がないの。『涙』じゃまだ足りなくて…。甥っ子の仁くんに化学の勉強教えてもらったわ。
『金属のイオン化傾向』で、カリウム、ナトウリムはもっともイオンになりやすく不安定な金属で、金やプラチナはその対極にある最も安定した金属なんだって。
イオン化傾向の順番を憶える為に…。」
「語呂合わせだったのね。
莉緒ちゃんが言ってくれたヒント。
『金貸そか?まぁ、あてにするな、ひどすぎる借金』って言葉ね」続