「フフフ、ルールは簡単よ。
同じ『花いちもんめ』でも、じゃんけんはなし。
貴女はただ心から『欲しいもの』を叫ぶだけでいいの。」
「そ、それのどこが花いちもんめ！？」
「じゃあ、夢いちもんめでいいわ。
一匁って重さの単位なんだってね。
カールクリラノースさんが教えてくれたわ。」
「こ、今度は25位のグラシャ=ラボラス様？
ま、まさか、らい夢は既にあのお方との契約を貴女達に喋ったの？
…そんな…。
こんな幻術で勝ったつもりかしら？
『見よう見まね・海神リバイアサンの大津波！』」
「そんな物真似魔法で私の空間は破れないわ。
この光一つない暗黒空間でも、ここでは貴女の願いは全て叶うわ。
でも…だからといって、ここから出られるとは限らないけどね。
だって相手陣営に『居ない人』を欲しいと言われても用意出来ないでしょ？
じゃあ…しっかり考えて答えを出しなさい♪」
「答えは出てるじゃない！『黒幕』とか『動機』を吐かせたいだけじゃない！」
「それもあるけど…。
ダンダリオン、まずは貴女の心の『闇』が問題よ。
話は戻るけど、ここは貴女自身が生み出した『闇』よ。
そしてどんな願いも叶うけど、貴女が本当に欲しいお願いを言わない限り、ここから出られないわ。
3時間でも4時間でも丸1日でも『ゆっくりと』見守るわ…。」
「ま、待って！
勝手に消えないで！
私はこんなゲームするって言ってないじゃない！」
＊＊＊＊
…私はフェネクス様を本気で怒らせたんだね…。
どれだけの日にちが過ぎただろう。
最初はタカをくくってた…。
こんなお話って『素直になれ』とか『相手の気持ちになれ』とか道徳的なお説教だと思ってた。
だから私は、今一番欲しいダンス教室の『佐伯陽菜』と『茶谷小夜子』と言った。
そしたら心の無い彼女達の『お人形』が現れただけだった。
次に正直に『お金』と言っても札束が滝の様に降ってきたが、こんな暗闇で一人ぼっちでは何の役にも立たなかった…。
そして遂に私はアンディなら私を助けてくれると思い、『アンドロマリウスの心が欲しい』と言えば、先の二体の人形とは別の、心があるアンドロマリウスが現れた。
でも、それは私に取って都合の良い言葉のみを囁いてくれる『喋るお人形』だった。
身心ともに限界に達した時、
私は、
『出口が欲しい』と言った。
途端に全ては消え、私は約10日に及ぶ漂流から解放され、私はあの場所、あの時間に戻された。