天使の階層を決定付けたのは、通称・偽ディオニュシオスと言われています。
彼は三世紀以降に生まれた「新プラトン主義」の徒であり、初めて
「ヒエラルキー」 (聖秩)という言葉を用いたのです。
何故、「偽」と付いてるかと言えば、彼は聖書に登場する1世紀の聖人の名を語ったからです。
「天上位階論」はおかげで6世紀頃には写本が始まりましたが、1世紀(つまりキリストが生きていた時代、もしくは死後60年くらいしか経過してない)に書かれたものと誰もが思っていました。
新プラトン主義ってのは、実際のギリシャ哲学とは少し違います。
当時キリスト教ってのは、キリストが死後に浸透したもので、生前に面識の無かったパウロの功績が大きいです。
当時のキリスト教ってのは、イエス・キリスト「個人」の奇跡と言葉を語り継ぐのが中心で、
「じゃあ、それを踏まえてどうしたらいいの?」
ってのが決定的にかけていました。
逸話や格言、名言は足りてても、
「どうあるべきか?」
が不足してました。
これを補う為に聖アウグストゥヌスはプラトンの哲学を用います。
教義としてのキリスト教、宗教哲学としてのキリスト教、取り分け「死後の世界」を補ったのはプラトンの「イデア論」です。
「この世は幻で、本当の理想の世界であるイデアを求める為に人は学び一生を終える。
私達が今見ている世界は洞窟の入口の方を向いて、背中から光を当てた時に見える影を見てるだけだ」
とプラトンは主張したのです。
これを進化させたのがプロティヌスで、万物の根源とかを突っ込み、神秘主義的な世界観を作り出したのです。
このプラトンの「この世は幻」と、キリスト教は見事に融合し、4世紀の教父哲学者アウグストゥヌス公により、「多神教の様な人格神ではない、絶対概念の唯一神」が生まれたのでした。
唯一神、絶対神は「意思」でのみ世界を統治し、流転する自然や社会の機縁そのものに「神」を見出だしたのです。
そして具体的な奇跡は天使が下記の様な階層で担当しました。
1 セラフィム(熾天使)
2 ケルビム(智天使)
3 スロウウィンズ(座天使)
以上、上級天使
4 ドミニオンズ(主天使)
5 ヴァーチャーズ(力天使)
6 パワーズ(能天使)
以上、中級天使
7 プリンシバリティーズ(権天使)
8 アークエンジェル(大天使)
9 エンジェル(天使)
以上 下級天使
続く。