「タックルは膝から下~!!」
「きゃあっー!」
絶対に来てくれると私は信じていた!
頼り無くて優し過ぎて、いつも私を心配させる近藤くんだけど、必ず助けてくれるって思ってた!
史香は完全に舞い上がって油断してたけど、私は自分の背中側に感じる気配は近藤くんだとわかっていた。
流石に喉元に刃物を当てられてたら私でも危ないし、近藤くんに救出のタイミングを合わせる作戦はバッチリだった。
ポケットからスティックシュガーを垂れ流し、途切れた瞬間に近藤くんの体当たり!
と、同時に私は身体を屈め、星明とグラシャ=ラボラスさんに保護された。
「…無事で何よりです。
ウリエル姉さんに何かあれば、上の姉二人に合わせる顔がありません…。
治癒術に長けた悪魔を召喚出来るほど魔力は残ってませんが、脇腹の傷口に直接魔力を送り込みます。
念話をラファエル姉さんに送信しておきました。
医師として人間界で暮らす天使が間もなく駆けつけるはずです…。」
「星明…ありがと…。」
「いえ、全ては近藤刑事のおかげです。」
「阿吽の呼吸ってやつだな?ウリエル様。
なるほど、人間にしとくにゃ、確かに勿体無えな…。」
「凄い…人間が天使を取り押さえてる…。」
近藤くんは倒れた史香に絞め技を極めた。
両足はガッチリと史香のスラリと長い脚をフックし、両手はガッチリと史香の白い肌の頸動脈を抑える裸絞めが極っていた。
倒れた拍子に剣は手を放れ、史香は抵抗出来ずに苦しみながら天井を見上げてるだけだった。
「何故だ?お前は取調室で監視されてたはずだ?
何故、私が人間如きに…?」
「取調室?あぁ、能代が慌ただしく席を外したのが怪しいって思ってたら、まさか史香さんが宇都宮先輩を人質に取るなんて…。
抵抗の意思がないことを示さない限り、この裸絞めで落ちる(気絶する)まで絞めさせてもらいますよ…!」
「何故だ?誰が裏切った?公安に内通者が居たのか?何故お前は取調室から出られた?」
「裏切り?内通?僕にそんな難しいことはわかんないけどねぇ?
ただ、記録係の則子先輩に『トイレ行きたい』って言っただけさ。」
「馬鹿な!?人間はなんといい加減な…。」
「その人間に抵抗出来ないのは誰かな?
『肉体に過度の負担がかかってる時は、天使も悪魔も術は使えない』
アークエンジェルの宇都宮先輩が、僕に一番最初に教えてくれたことだ!」
「嘘?君はマキを天使と知ってて?」続