突如会場に現れた私服警察官達。
半ば強引に観衆を解散させ、撮影スタッフと参加者だけ残るように声を張り上げた。
商店街とかの街角ならまだしも、商業施設の複合ビル内でこんなことをやられたらテナントの人達はたまったものじゃない。
それを見越してか、私服警察官達は手際よく撮影に使われてたステージ上をロープで封鎖し始めた。
「相変わらず、恥知らずな行動しか出来ないのか…。」
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警視庁取調室
(そうですか、大天使ウリエル様はよほど火に油を注ぐのがお好きなようだ…。
いいですね、決して傷つけてはいけませんよ!生け捕りにするのですよ)
(しかし、能代警視。
奴は『殺人の悪魔』我々がこの姿だと…。)
(何を情けないことを言ってるのです。
何のために貴方達を選抜したと思ってるのです?
対魔戦闘のスペシャリストが何を言うのです。)
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近藤優への取り調べをよそに、突然スマホを取り出し激しくメールを打ち出す能代。
呆れた近藤は…。
「僕に聞きたいことなくてメールに夢中なら帰してくれませんか?
色々と心配なことあるんで…。」
「君は何も捜査を心配せずに、僕の質問に答えてればいい。」
携帯をポケットに直し、取り調べを続けようとする能代だが…。
「いや、僕が心配してるのは貴方ですよ。
最近のスマホは上下逆でもメール打てるんですか?」
普段見せない近藤のふてぶてしい態度に能代は動揺を見せまいとし、
「君には関係ないことだ!」
と精一杯トーンダウンして言ったが
「ええ、確かに関係ないでしょう。
貴方が誰にテレパシーを送ってようと!」
「な…。貴様何故…。」
と、冷静沈着な能代の仮面が崩れそうになった時、
「奥様、いけません!いくら奥様でも捜査の妨害は…。」
「放して!一人の妻の疑問を解決出来ずに、捜査に終わりがあるわけないでしょう?」
「バタン!」
と、激しい音とともに、歳のわりにフリルやリボンが派手についた服を着た女性がドアをこじ開け、屈強な肉体の警察官二人とともに雪崩こんできた!
「あなた!」
「梨衣子!?何故ここに?」
「3日も電話無しに取調室に籠りっきりって、あなたの後輩の天宮さんから聞いたから、どんな小娘をじっくり尋問してるのかと思えば…。
可愛い男の子で安心したわ♪
はじめまして、容疑者さん♪能代の家内の梨衣子です。」
「私の捜査に首を突っ込むなと言ったろ!
君が危険だ」