私のせいで窓から転落した舞と麗香お姉さん。
反射的に私は舞の手を掴んだが、二人の体重を支えられるわけもなく…。
って思ってたら、嵐が凄い早さで手を伸ばして…。
「しっかり掴んどけよ、舞花さん。」
私より小柄な嵐がまた大きく見えた一瞬だった。
「おい、ややこしいことは後や!
雪之介に他の奴らも手伝わんかい!
転落させたいんかい!」
クラスのみんなと嵐が初対面なんて関係なかった。
みんな舞と麗香お姉さんを助けたい一心で手を掴んだり、私達の身体を支えたりした。
でも…。
「女!死んでもその手を離すなよ!」
麗香お姉さんの命は、文字通り舞が掴んでいた。
クラス全員で舞を窓から引き上げようとしても、舞には麗香お姉さんが重すぎて…。
「駄目、痛い…。腕がちぎれそう…。」
「頑張って舞!絶対助けるから!!」
「駄目…いつまで持つかわかんない…。」
「重いか、舞花さん?
『これがあんたが奪おうとした命の重さ』やねんで…なんて話は後回しや…。
舞花さん、このままじゃ無理や!
麗香姉ちゃんを握ってるその手を離せ!」
嵐からの衝撃の言葉。
その冷たい言い方はお姉さんやお母さんにそっくりに見えたけど…。
「嵐様!麗香お嬢様を見捨てろなどと…。」
雪之介が怒るのは無理もない。
「そうよ!嵐くんの言う通りだわ。
瀬能舞花。
早く手を離しなさい!
相野家後継者として、もしもの時の覚悟は出来てるわ!
離しなさい!貴女は助かるわ!
雪之介!貴方に責任はないわ!」
麗香お姉さんがこういう人間だとはわかっていた。
でも…。
「アホかー!命の重さに生まれは関係ないんじゃ!!
舞花さん、手を離せってのは、タイミングを合わせろって意味や!
雪之介!この真下の教室に誰がおるか知っとるやろ?」
「そうか、下は二年の教室!
瀬能舞花!私が伝えに行くまで手を離すな!」
雪之介!は急いで階下の教室に向かい…。
「嵐~!事情はわかたね!私に任せろ!
月之介、雪之介!しっかり私を支えるある!」
真下の教室から身体を乗り出したのは凛子お姉ちゃん!
そっかぁ!麗香お姉さんを三階の窓から引き込んで、私達が残った舞を引き上げたら解決よ!
「よし、ええぞ!舞花さん、ゆっくり離せ!」
「どうせもう限界…。」
「キャッ!」
と悲鳴と同時に麗香お姉さんは三階の凛子お姉ちゃんにしっかり受け止められ、助けらた舞は嵐にきつく抱き締められた。