愛しの玉子様!? 5 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

移動の車中では話題が尽きなかった。

伯父さんが大恋愛の末に相野家を飛び出して、静伯母さんと一緒に田舎暮らしを選択したこと。
口では静伯母さんを恋敵の様に悪く言い続けてたお母さんもなんだかんだと二人を祝福して送り出していたことなど聞けて楽しかった。
嵐くん視点のエピソードは今までお母さんから聞いた話と全然違ってとても面白かった。
ただ嵐くんの話ぶりは「両親」というより「年上」「先輩」って感じで、あまりに客観的過ぎてホントに16才?って思っちゃう!
もしかするとお母さんを亡くしたショックを「他人事」みたいに冷たく振る舞うことで我慢してるのかな…?だったらちょっと背伸びしてるみたいで可愛いかも…。

「鶏子ちゃんの事なら心配しないで♪
月之介も全面的協力して、事前に小屋作りしてくれてたわ…。」

「ありがとうございます。」

「嵐さんにとって、そんなにこのニワトリが大事なの?
私、朝苦手だから、早朝からコケコッコー!って鳴かれたら迷惑なんだけどー。」

私の言葉にハンドルを握るお母さんはクスリと笑い、助手席の嵐くんは、後部座席の私と鶏子ちゃんの入った鳥かごの方へ振り返り、

「都会モンはホンマに何も知らんねんな~。
時を告げるのは雄鶏で、雌鳥の鶏子は『コッコ、コッコ』としか鳴かんわい!」

「あぁもう!またこのバカにした笑いと関西弁が!そんなの知りません!生物の授業で習ってないもん!」

イライラをぶつけ返す私に母はやんわりと…。

「はいはい、車内で騒がないの。
嵐くんも馬鹿なるんを許してね。
出ないと間違って嵐くんの『チェンジレバー』握っちゃいそうだわ♪」

「それとは間違わないでしょ!」

「……。」

「……。」

「るんも大きくなったわね♪お母さん嬉しいわ♪」

「嵐さんも小さく笑わないで!余計恥ずかしいじゃない!」

****

「おかえりなさいませ。」

深々と頭を下げるのは執事じゃないですよ。
私達のお父さんで相野グループ専務の相野鮎兎(あいのあゆと)です。

「おぉ、少年!待ちわびたぞ!歓迎試合は明日の昼休みね♪
それまで鍛えるがいいね。」

格闘マニアの次女の凛子お姉ちゃんは、嵐くんの背の低さより、大自然で鍛えられた筋肉を見抜いてたらしいです。

そして…。

「…おかえり。ふぅ~ん君が嵐くんね。宜しく…。」

とだけ長女の麗香お姉さんは言いました。
庭師の月之介とシェフの雪之介も同じ高校生です。