志磨子の小説内小説「包囲・磁石」11 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

2014年8月19日、私達の夢は脆くも崩れた。
なでしこリーグの最終節、前日の土曜日にライバルの岡山と読売は試合を終えていた。岡山は勝利して暫定一位になり、読売は引き分けて二位に踊り出た。
親友の南部彩ちゃんが所属する浦和レディースが優勝するには神戸に勝利するのが条件なんだけど…。
結果は0-1の敗戦。私も埼玉まで行って応援したけど、ホームでの優勝はならず、浦和は三位でシーズンを終了した。


「お疲れさま~!」

「申し訳ございません、島さん。
自分の不甲斐ないパフォーマンスのせいで、せっかくの祝勝会の為に予約してくれたお店が…。」

「いいのよ、南部ちゃんはルーキーイヤーなんだから、そこまで望むのは贅沢よ!」

「そ、そうですね。
入団当初はレギュラーに入るのが目的だった事を考えれば、出来すぎた結果かと思います。」

「さぁ、今日くらいは派手に食べようよ!
はぁ、でもウチの彼氏が忙しいのはわかるけど、一橋先輩も今日これないなんて残念ね。
彼女の晴れ舞台の応援に来ればいいのに!
東京の大学なら、私より近いのに!」

※北条町という架空の町は、東京から新幹線で日帰り出来る範囲内ですので、一応静岡辺りが有力です。

「ごめ~ん、お待たせ!」

「そうそう、来るのはこんなのくらいだしねぇ」

息を切らしながら手にした花束を渡した男性。
ここの支払いをしてくれなきゃ絶対に呼ばなかった。

「南部さん、レギュラーシーズンお疲れさまでした。
はじめまして、『月刊・拘束通信』の大島です。
志磨子の担当をさせて頂いてます。」

「じ、自分の様な者の、ファンと窺い、恐縮であります…。
このような花束は、優勝者にこそ相応しく…一層の精進を誓いますので…。」

「堅い、堅いよ南部ちゃん!
ごめんね、大島さん、こんな娘で。」

「いや、何か二人が親友なの納得だよ。」

「あ、あの、今月号も読みました。
まさか友子さんが整形を望むなんて衝撃でした!
しかし、それ以上にあの哲也さんという最初の彼氏さんは…。
ああいうアイデアは本当に島さんの頭から生まれるのですか?
大島さんからのアイデアとかは…?」

「ハハ、ファンらしいストレートな質問だね♪
作家と編集の関係はいろいろだけど、僕は極力志磨子先生には自由に書いてもらってるよ。」

「ウソ、いっつも口うるさいじゃない!
哲也に近親○姦ネタ持ち込んだの大島さんの趣味じゃない!」
「声デカイ」