「ちょっと、本当に私達の事を友達と思ってるなら、畏まらずに普通にしてよ。」
「そうです、素敵な時間を共有出来た皆様だからこそ、私達はこの姿を見せようと思ったのです。
その気持ちは同じです。」
この姿を見た彼らは、私達が天使という種族だということより、天界という巨大な組織に属している、という事に嫌悪を示した様にも見えたです。
その様子にグラシャ=ラボラスさんと御子神さんがグラスを下げながら…。
「わかってやんなよ、みんな。
自分の命運を天の仕業、と呪いたくなる気持ちはわかるが天使二人でどうこう出来る問題じゃねぇんだぜ?」
「グラシャ=ラボラスの言うとおりです。
ロビン店長は全てを知ってて私達に任されました。
皆様、どうか広いお心で…。」
「ち、違います!天界の住人にも二人みたいな人が居てくれた事が嬉しいんです!」
「左様。真の天使とは、我々の様な者と享楽を楽しめる者だという事が感慨深くて…。
これぞ神の愛…。」
「そんな河野さん、大袈裟な…。」
「なんてこった、普段はこんなにカワイイ二人の方が、俺より強大な力を自由に操れている…。」
「鬼頭さん…。いえ、鬼頭さんの心がけは私達の方が学ぶべき…。」
「正真正銘の天の使い…。
これは…。」
「こら、用高!天界とパイプが出来たなんて思ってないでしょうね!」
「違うよ明日香!俺は本当に二人の気高さに感動したんだ…。」
「ねぇ、その翼触っていい?俺のより綺麗~。」
「く、蔵間さん、恥ずかしいです。」
「あたしもその羽根でモフモフした~い!」
(余計な心配だった様ですね、ウリエル)
(うん、本当に嬉しいよ…。)
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「ありがとうございました。
またのご来店を。」
夢の様な時間はあっという間で、再会を約束してお開きとなったけど…。
「結局、私達フラれたの~?」
カップルが成立したのは井成さんと明日香さんだけっぽいし、他の三人は最後に沙代理さんに持ってかれるし…。
「あ~、天使って損な役目!
全く、何やってんだか…。」
看護師寮に向かうラファエル姉さんと別れた私は、スマホを取り出し、お気に入りリストを検索する。
「もしもし、私。
ねぇ、今どこ?
○丁目で張り込み?
良かった、近くに居るから『飛んで』行くわ!
美味しいプリン貰ったから差し入れに行くからさ!
こらこら、先輩の好意を断らないの。
『あたしと一緒に食べてよ…。』」終