あくまでメモなんだからね!
****
バラム
ソロモン72の悪魔のうち、序列51番目の悪魔。
過去と未来を正確に見通す力があり、人間を透明にする力があると言われている。
鷹を腕に留まらせ、凶暴な熊に跨がって現れるという。
しかし、バラムの最大の特徴は「人間」であるということ。
そう、バラムはその呪術力で「悪魔」扱いされ、序列51位を堂々と獲得した人間である。
古くはエジプトを脱出するユダヤの民に、不吉な預言をした占い師とされる。
しかし、預言をした当初は、ヤハウェとユダヤの民の関係は磐石であり、バラムの呪いは拒絶された。
しかし、旅路の途中で異民族、異教徒と交わった一部のユダヤの民は「私以外の神を崇めるな」との誓いを破ってしまい、ヤハウェの怒りを買ってしまう。
これが後世に占い師バラムの呪いとされ、バラムは長くユダヤの民に恐れられ、いつしか人間でありながら、悪魔扱いされたのである。
****
「…なるほど、バラム殿でしたか…。
人間の貴殿では、いくら私が監視しても、貴方の正体がわからないわけだ…。」
虎徹はバティンの右腹部に深く刺さった。
痛みに耐えながら、バティンはバラムと北御門瞳に警告する。
「…逃げなさい…。
不覚でした。間もなく私は『彼女』に乗っ取られるでしょう。
妖刀が私の瞬速を手にすれば、最悪の事態となります…。
私の契約は北御門様をお守りすること…。
私は必ず契約を守ります…。」
北御門瞳は、事態が飲み込めないながらも、疑問を口にする。
「妖刀とか乗っ取られるとかってどういうことですか?
原さんは私にそんな危ない代物を売ろうとしてたのですか?
何処の何方か存じませんが、私の身代わりに…。
すぐ救急車を…。」
「僕を許してください。
ですが、誓って貴女を危険な目に遭わせるのが目的ではなかった。
これ以上、犠牲者を出さない為に、貴女の力を借りに来たんだ。『おみねさん』の無念を浄化出来るのは、鴻池(こうのいけ)の血を引く貴女にしか出来ない…。」
「鴻池?確かに母の旧姓は華族で商家の鴻池ですが…。」
「虎徹に宿った『おみねさん』は、ある幕末の志士に、贋者の虎徹を売り付けたことを酷く後悔しながら亡くなった女性なんだ。
彼女を不憫に想い、善意でその志士に本物の虎徹を贈ったのが、商家の鴻池なんだ。」
「ふむ、妖刀の魔力をギリギリまで儀式で抑えてから彼女が浄化の協力する手筈でしたか」