モトサヤ 16 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

「へぇ~、高野さんも、熊谷さんも内定貰えたんだ。
おめでとう。」

「畠山くんほど大手じゃないけどね~。
家庭教師のバイト先にそのまま就職するって、そんなに面白い仕事なの?」

一樹くんとのショッピング中に、突然大学の女友達に声をかけられた。
そのまま四人でカフェに入り、四回生らしく就職先の話になった。

「あぁ、家庭教師が楽しいのは勿論、俺が社員を希望したのは、マネージャーになって家庭教師を送り込む側をやりたいからなんだ。
家庭教師側の事情と家庭の事情をしっかりマッチングさせる仕事がしたいんだ。
それは面接の時にもしっかりアピールしたさ!」

「へぇ、意外~。
講義の時もテニスサークルの時もクールっていうか、言葉悪いけど無愛想な感じだから、てっきり人間嫌いかと思ってたわ(笑)。」

(へぇ、初耳だね、道長。君にも夢や希望があったんだね♪
人は見かけによらないな!)

(悪魔もな!)

最近になって漸く、姿を消して俺の心に語りかける、契約悪魔のゼパルに慣れてきた。
こんなのに慣れたくないが…。

「先生が就職出来たのは、僕と母さんがアンケート葉書で先生のこと誉めまくったこと忘れないでね!」


「君達ホントに仲いいね。
兄弟みたいね。」

「あ、ありがとうお姉さん…。
僕が大きくなったら合コンしませんか?」

「きゃあ~、可愛いね僕(笑)。」

「真壁一樹です。子供扱いしないでください!
じゃあ、今度テニス教えてくださいよ。」

「僕はお姉さんに何を教えてくれるのかなぁ?」

「僕って言わないでください!」
****
「じゃあね~、畠山くん、真壁くん。」
女子大生二人は散々喋って帰っていった。
そして…。

「ふぅ、『普通の』中学生のふりも楽じゃないね。
でも、女性に人気な先生も好きだよ。
それに良いこと聞いた。
先生の就職先が今のバイトと同じなら、僕は先生の未来を握ってるんだ…フフフ。」

(坊やもわかってるね。
確かに母親とそっくりですね。)

(あぁ、母親のあずさも俺との関係を、就職先に…って脅しをたまに使うからな)
***
「じゃあね、先生。今日はこれで。
いつかアパートに泊めてね♪」

夜も遅くなり、一樹くんは素直に帰ろうとした。
それは俺がお別れのキスを既にしたからだ。
そうしないと終わらないことを俺が感じたからだ。

俺はいつから、あの高野さんや熊谷さんと結ばれることを諦めてしまったのだろうか?続