モトサヤ 4 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

「犬が喋った!?」

都市伝説なんてのは情報が錯綜してて当然だ。百発百中の狙撃手だとか、切り裂きジャックの子孫だとか、ドーベルマンに変身する悪魔だとか…。
それにこの喫茶店自体があの世と繋がってるとか、数々の噂がある。
俺はどれも完全には信じてなかったが、言葉を話すマルチーズの姿を見て漸く信じる気になった…。

「グラシャ=ラボラス、ゼパルさんはお忙しい身です。
まだ前回の依頼が終わってないでしょう?」

サングラスをした長身の御子神って奴は当たり前の様にマルチーズと会話している。
これだけで頭がおかしくなりそうだ。

「払う金は無いし、人妻と情事に耽る男に『対価』が払えるほどの『徳』があるわけねえ!俺は降りる。
ゼパルの旦那が引き受けねぇなら、帰ってもらいな!
死にたいならテメェで勝手にしな!
つまんねぇ事で悪魔を捲き込むな!」

「俺が自ら命を絶ったと知れば、彼女やその家族に要らぬ負担をかける!だから貴方達の力で自然な形で消してほしいんだ!」

俺だって…何度死のうと思ったことか!
だが俺が自ら死を選んだと知ったら、彼女はまだしも、息子の一樹くんにどれほどの苦しみを背負わすことになるか…。

「甘めぇなぁ、あんた…。
その甘さが大人の女の気を惹くかもしんねぇが、抱えきれない情愛は死よりも残酷だ…。
間違いねぇ、『徳』の無いあんたからの依頼は受けれねぇ。
対価が払えなきゃ、魂を奪って地獄で強制労働して貰うが、そんなのあんたも嫌だろう?」

魂を奪う?地獄?そうか、彼らはホントに悪魔なんだ!だったら…。

「俺の魂を奪えるんですか?だったら今すぐお願いします!地獄で労働?それこそ俺にふさわしい罰だ!」

「ちょ、ちょっと待ってください、畠山さん。
魂を奪うのはあくまで『担保』です。
ヤミ金やヤ○ザでも、見ず知らずの家庭から家財道具を差し押さえたりしませんよ!魂を奪うには私達もそれなりの仕事をしないと…。」

「だからゼパルの旦那に頼みな。
おい、ブロッケン!旦那は帰ってきたんだろう?起こしてきな!」

「…畠山さん、ゼパルは、こちらのグラシャ=ラボラスより高位悪魔です。
つまり、魂を奪った後、地獄での労働時間が長くなります…。」

と、その時、ウェイターがデービッド・ベッカムの様な男を連れてきた。

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「はじめまして。『破局』の悪魔ゼパルです。」