フブンリツ 12 | 最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

最後の哲学者~SPA-kの不毛なる挑戦

このブログは、私SPA-kが傾倒するギリシャ哲学によって、人生観と歴史観を独断で斬って行く哲学日誌です。
あなたの今日が価値ある一日でありますように

「幽霊?そんな高尚な存在じゃねえよ。
本来ならお前を苦しめる権利があるのは、お嬢ちゃんの生き霊だけなんだろうが、不都合な世の中じゃあ、俺みたいなヨゴレが必要なんだよねぇ。」

固定観念に囚われた人間には犬が喋ることも、犬が人間に変身することも、「怪奇現象」「ストレス性の幻覚と幻聴」と解釈するのが精一杯だろう。

だが、俺は容赦しない。
わざと短い感覚で変身を繰り返し、リビングを嘲るように走り回った。

「貴様、直ぐに出ていけ。不法侵入で訴えるぞ!」

ゴルフクラブを構えて俺に殴りかかる父親。

まぁ、不法侵入の暴漢が居れば、奥さんを守る為に当然だな。
銃社会なら射殺モンだ。
そんなのは「殺人の悪魔」グラシャ=ラボラスに取って想定内さ。

「ガシャーン」

ド素人の打擲に遅れを取るはずもなく、父親はただ辺りの家具を壊すだけだった。

「何でえ、弱い女子供にしか殴れねえのか?
ほら、俺はここだぜ!ちゃんと狙いな!」

「ブン!」

と狙い済ました一撃も、マルチーズに変身することで軽く避けられる。

この状況に父親は喚き散らし、母親は震えながら泣き続けるだけだった。

「やれやれ、テレビも花瓶も高いんだろう?
壊しても買い換えるつもりか知らんが、奥さんや娘さんの『代用品』のアテはあるのかい??」

「化け物が説教などと…。」

「化け物とは己の権力と財力と暴力で人を支配する奴じゃねぇのか?
俺なんて、とてもとても。
それにお前さんに説教出来るのは、『立派な母上』てぐらい知ってるさ♪」

「貴様ー!」

「ガシャーン!」

渾身の一撃虚しく、ガラスを割った時、お嬢ちゃんが帰ってきた。
よし、時間稼ぎは終わりだ。

「パパ、ママ、グラシャ=ラボラスさん!
これどういうこと?
パパやめて!」

お嬢ちゃんが驚くのも当然だ。

「私は『文学のソムリエ』カールクリラノース。お嬢様の臨時の家庭教師でございます。
本日チャージ致しますメニューはお父様に最も相応しい『娘の日記帳』でございます。」

吐き気がするような芝居がかった台詞よろしく、左手をのばして父親の額にあてる。男同士でオデコは勘弁な♪
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「ヒィィー!、許してくれ、許してくれー!
私は違う、あんな父親とは違うんだー!!」

任務終了≠完了